上 下
19 / 35
第一章 幼少期

灰色の髪は星の煌めきにーゲルフィン視点

しおりを挟む
護衛をする様になってアルセイヌお嬢様の言動は、あの毒姫と言われるものではなく。
落ち着いたもので小さな子供だと言うのに、何処か悟っているような感じがあると思ったら子供らしいはしゃいでいたりコロコロと変わって俺自身楽しくはあった。

影での護衛が俺の家系であり暗殺も生業にしている。
主に拾われた時は、この方は氷の騎士と言われるだけあり強く、こんな大きな存在を狙えと言った依頼主を恨んだものだ。

敗れ敵わないと死を覚悟したが、何を思ったのかスカウトしてきたのだ。

俺は呆気に取られたものの、どうにも前から我が一族に影からじわじわと侵略と裏事情を改善していたらしい。

なんだこいつと思ったが主を決めかねていた俺自身、ついて行くのも面白いとおもえ承諾していた。

しかし主としては認めてくれずの保留。

何故と問えば俺を娘の護衛と任に就かせたいようだった。

はあ!? なんだそれ?

って呆気に取られたが、どうにも主の娘は国に畏怖の尊重の髪色と瞳を持ち、膨大な魔力で命も危うい存在だと聞かされた。

国への誤認報告は罪だが、親とし子を守らんとする主の心は硬く揺らぎもない。
同じ同罪の罪を話す覚悟に信頼感を滲ませられては、会ってみたいと思うもの。

承諾はアルセイヌにあった瞬間魅了された。

てっきり箱入りのお姫様で、何も知らないだけの子だと思ったのに、襲撃されたときの落ち着いた対応や判断力に理解力の速さ。

そして静かに泣いていたであろう涙のあと。

もしかするとおのれの運命を確信しているのかと思った矢先。あの質問....自分が国から畏怖されてる存在であるんでは? と。

驚き俺は焦る。

ここまで理解して命を絶ったりしないかと。

だがアルセイヌの気持ちはただ...静かで守りたい気持ちが湧いてしまった。

俺らしくもない。
普段であれど、人に心動かされたりしないのにな。

最近は絵本を良く朗読している。
同じところでミスしては呻くアルセイヌ。
そんな様子は子供らしく度々ミスる姿に笑うと不貞腐れるも一生懸命で嬉しくもあった。

そんなある日、朝の朝食後に異変が起きる。
ふらふらと茂みに入るアルセイヌ、ライナリアお嬢様も一緒に。何がと思った瞬間ウォンッと一回鳴いた音が響き近くに行けばアルセイヌお嬢様の腕にはフェンリルの子供がそこにいたのだ。

鳴き声などした覚えもないとアルセイヌお嬢様に言われ、俺自身の能力のせいかと確信するが今は置いておく。
まずはと主にフェンリルの子を拾ってきたアルセイヌお嬢様に対し、頭が痛い案件が増えたようでガシガシと掻く。

「何かの導きか、それとも.......。」
「主?」
「いや......なんでもない。今後に注意をしておく必要があると思ってね。」
「注意? それって?」

ポツリと呟くも主は何も言わず頷く。
聖誕祭で何かが起きる予兆だと思ったのだろうと予測する。
女神を祝う祝辞、フェンリルは聖なる乙女に降臨する。

チラッとアルセイヌお嬢様を見るも静かにフェンリルを抱く姿は愛くるしくも、彼女の運命が何をもたらすのかと不安が過ぎる。


そんな中...お昼寝がしたいと眠るアルセイヌお嬢様は数秒もかからず眠っている。
俺は壁に寄りかかり考えていた。

あの奇襲事件の犯人がまさかのこの屋敷内の情報を得ていたとは、身辺調査はまあ主の手腕でどうにかなるだろうが...奴がいた節からしても、他にも何かあると考えておく必要がありそうだな。

少し離れて主と話しておくかと思った矢先に青い澄んだ蝶がアルセイヌお嬢様の周囲に飛んでいたのを見かける。

「.......蝶? こんな季節に?」

季節は春に近づいてはいるが、ここの気候的にこんな蝶は見かけたことがない。
青いアゲハ蝶はふわふわと回転するように飛びアルセイヌお嬢様の側から離れる様子がない。

1匹、2匹と増えていく異様な光景。

するとアルセイヌの回りにある空気が異様なものに変わっていく、澄んだ光の青が彼女に触れたとき霧散する。

不可解で綺麗な光景が続く中不意に目を覚まし夢遊のように歩くアルセイヌお嬢様は月を見上げては遠くを見ているようにジッと眺めていた。

その時...白い蝶が舞うと溶けるように彼女の上に散る。

キラキラと小さな彼女の側でまるで守るように蝶の残滓は溶けていく。

綺麗なはずなのに月に溶けてアルセイヌお嬢様がいなくなるような儚さがあってつい、ドアをノックする。
すると彼女は俺が部屋にいたことに驚きはしたものの、すぐに表情は普通の無表情に変わる。

他愛のない会話の後、お互いに月を眺めているなか。
唐突にアルセイヌお嬢様から驚きの質問を投げかけられた。

「ゲルフェンさん、星の煌めきが散ったら消えると思いますか?」

一瞬の動揺が心をざわめかすほど、先程の俺の表現を読まれたのかと思ったが、真っ直ぐに問う思いに俺自身が消えるようなことをさせたくない考え、問うた返答を伝える。

少しの試しと思いを込めて。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~

りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。 ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。 我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。 ――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。 「はい、では平民になります」 虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。

使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後

有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。 乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。 だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。 それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。 王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!? けれど、そこには……。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

そして乙女ゲームは始まらなかった

お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。 一体私は何をしたらいいのでしょうか?

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

ここは乙女ゲームの世界でわたくしは悪役令嬢。卒業式で断罪される予定だけど……何故わたくしがヒロインを待たなきゃいけないの?

ラララキヲ
恋愛
 乙女ゲームを始めたヒロイン。その悪役令嬢の立場のわたくし。  学園に入学してからの3年間、ヒロインとわたくしの婚約者の第一王子は愛を育んで卒業式の日にわたくしを断罪する。  でも、ねぇ……?  何故それをわたくしが待たなきゃいけないの? ※細かい描写は一切無いけど一応『R15』指定に。 ◇テンプレ乙女ゲームモノ。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。

処理中です...