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第一章 幼少期

魔力暴走事件の真意 中編ーグライハイム視点

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アルセイヌの魔力に効用するかのように体内の魔素を吐き出そうとしているか散り散りと蝶が羽ばたき出す。
その光景は綺麗だがグライハイムには血吹雪にしか見れず、女神像に向かい願う!!

我が娘を連れて行かないでくれ!!
アルセイヌの成長を見させてくれ!!
女神よ、頼む!


願い続けるもアルセイヌの魔力暴走は収まることはなく、赤と青の蝶が周囲を囲み飛ぶ!

くそ!! 私には何もできないのか!?

アルセイヌの魔力暴走に備えての対策はしていたのに、力がない我が身が口惜しい。

その時だった、アルセイヌがか細い声で何か呟いていることに気づく。

教会の天上に向かい手を伸ばそうとしているかのように。

グライハイムは焦る、このままでは女神に我が娘を奪われてしまうと!

側に近づきアルセイヌの手を握り締め願いを込めて叫んだ。

「娘を奪うんじゃねえーーー!!」

教会内に響き渡る叫びが聴こ入れたのか、突如アルセイヌの周囲に舞う蝶が点滅する様に赤と青から白に変わり、黒い鱗粉は綺麗な白に変わり始める。

そしてアルセイヌを光が包み眩しく一瞬の瞬きが奇跡を起こした。

教会の祭壇に寝てるアルセイヌは先程とは違い顔色もよくなり蝶は消え去アルセイヌは静かに寝息をたてていた。

ホッと肩を撫で下ろし安心していると、青い蝶がグライハイムの前に飛んだとき、白い長髪をゆったりと肩で結んだ青年が現れたのを見て驚く。

こいつはアルセイヌが見せた男の姿に似ている。
だが唯一違うのは異国の服ではなく、どちらかと言えば神域の法衣を纏っている。

妖しくも綺麗な青年に目を細め問う。

「誰だ。」

敵ならばと腰の剣に手を添えて睨んでいたが、青年はクスリと小さく笑い、アルセイヌを指差した。

「我は女神の使徒、彼女を迎え入れる者なり。主よ、何故に彼女を守ろうとする?」

女神の使徒だと。
疑いの心が心をざわつかせるが、今....この問いに応えねばならぬ気がする。

「我が娘を大事に思っているからだ、呪われた身の娘だが最愛かつ揺るぎなき私の娘、誰よりも守っていたい!
女神だろうと娘は渡さぬ!!!」
「良い返答よ、なれば守れ。行く時月、この者には試練の蝶が咲く、その時に黒と光どちらが咲くか楽しみだ!」
「.....どういう意味だ。」

さあなと言うなり、青年はアルセイヌの側に近づくとボソッと何かを呟いたあとグライハイムを見て。

「刻限は7年後、彼女は発作を起こし死ぬ。それでも守れる努力をしろ、良いな人間。」

真剣な表情を向ける青年に、グライハイムは言われぬともと言う意志を込めて頷くと青年はフッと笑み消える。

「おい!グラム!!」

ユサユサと肩を揺らされて、意識が元に戻るような錯覚に目の前にはソルトが医療用のバッグを持って立っている。
近くにはライナリアが心配そうにグライハイムを見ていた。

「え?.....ああ、ソルト来てくれたんだな。」
「来てくれたんじゃねえよ! どういう状況なんだよ、アルセイヌ嬢ちゃん発作起きてねえじゃねえか!? 魔力も安定してるし、体の血脈も安定してるし呪いのも緩和してるしよ!」
「....すまん.....ちょっと色々ありすぎて私も混乱しているんでな。あとで説明する。それよりアルセイヌは大丈夫なんだな。」
「ああ...来てそうそう、おまえがぼんやり突っ立ってる間に診察と最小の治療は済ませておいた。」
「....そうか。お前が見て大丈夫ならば安心だ。さて、ありがとうよ。」

突っ立ってたということは先程のは幻だったのか現実だったのか、自分にとっての頭の整理が追いついてないこともあり礼を言ったにだが、どういうわけかソルトから怪訝な表情をされている。

「どうした?」
「いやー礼を言う割には不機嫌だったからよ、それにグラムの横に舞ってる蝶が気になってな。普通の蝶とは違うような....っておい!そんなに距離置かなくて良くないか?」

バッと近くにいる蝶を見ようとしたとき、蝶よりクスリと笑う声がしたせいもあり距離を置いてしまう。

「そうだな、私は疲れてるようだ。」
「はは、そうだろうな。アルセイヌ嬢ちゃんは俺が医務室に運んでおくから、ライナリア嬢ちゃんを慰めてやりな。ずーっと不安げにお前見てるぞ。」


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