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風に舞う雛鳥
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食事も終わりローラン君とボルトお爺ちゃん、ルドルフが今後のことを話し始めている。
私はといえば大きな金色の果物を頬張っていた。
ヒメの実って名前なんだけど、大きさは葡萄の大きなサイズで丸っこい、味は何故か苺みたいなんだよね。
美味しいから形状は今更気にしないよ私は。
「......ところで師匠、俺的に思うんだけどよ。物資的にはそれなりに用意出来たりはあるんだろ? 倉庫には師匠が作ったもん宝の持ち腐れの如くあったしよ。」
「まあ持ち腐れだろうが腕が鈍るのはいかんせん嫌なんでな。分けに行くのは別に良いんじゃが、どうにも引っかかるんじゃ。」
「引っかかる?なんで?」
ルドルフの疑問にボルトお爺ちゃんは顎髭を摩り、しばし考えたようで私に愚痴ってた内容をこぼす。
「ワシの名を知っておったことが、どうにもな。」
するとルドルフとローラン君が何故か驚いていた。
どうして驚いているのか私にはさっぱりわからないけど、ボルトお爺ちゃんの名前を知っていることじたいが問答みたいだということだけは理解できる。
「そっか、なら慎重にはなるわな。師匠はいくら隣村には別の名前で教えてたって言ってたのに、この伝達は....何かある可能性があるか。」
「お爺ちゃんは有名すぎるもんね、父さんも良く苦笑してたから。」
「......有名すぎるのはローランの父親もだと思うぞ。」
「父さん....確かに有名だから、あの人にこき使われてるんだよ。鬼畜だと僕は思うよ!」
「あははは、奴はお前の父親の事大好きでいじめてるからな。まあ、それを含めて慕っているんだ、おおめにみてやれ。」
「ルドルフさんは僕の父親がこき使われるの賛成派ですか、へえーふーん。」
「あ、えーっと。上司からの命令じゃ、しょうがないと思うよ。それにさあ、あの人って薬師じゃ有名だしな。」
「.......それ、言われると何も反論できないです。」
ぐぬぬーって感じで言いまかされるローラン君に、ルドルフがよしよしと頭を撫でられるも、やられて反論できないローラン君は「子供扱い嫌いなのでやめてください!」と文句を言っている。
まだ子供だし良いと思うんだけど、男の子なりのポリシーが邪魔してるのかなって、ちょっと笑ってしまう。
「まったく話しをずらして遊んでるとこ悪いが、ワシ的には重要なんじゃがのう。」
「あ、ごめんなさいお爺ちゃん。」
「すまん、話しを戻す。俺的な考えとしては、ここの家を空けさせるために偽造した手紙の可能性はあるか?」
「ふむ、可能性としてはあるのう。ここにはアレがあるし、いつもならばトラップとか色々施して行くんだが。もしも姑息な敵ならば考えて仮定したら、物資が足らないのは本当であり何かを想定したとした目的で手紙をよこしてきたと捉えなくもないんじゃよ。」
「確かに。動くんにもメリットとデメリットがあるってことか。うーむ、下手に動けば...ここに奇襲してくる。動かなければ隣村が困るか。」
「まあ...急ぎのようではないし急かされんかぎりは動かないつもりなんじゃ。しかしのう仕事面で世話にはなちょるから無下には出来んし、あとローランを今預かっとる間に危険な目に遭わすと鬼のように怒る奴がいるからな。」
うんうん、ローラン君の父親めっちゃ親バカしてたもんなあ。安全であるから預けてるのに、危険な目に遭わせたらキレそう。
ちらっとみんなを見ればローラン君は妙に納得してて、ルドルフ、ボルトお爺ちゃんを見れば苦笑しつつ嫌そうな感じいる。
そんなとき外の窓が揺れるようにガタガタって音がして私は外を見ると、雨と風が強く吹き荒れている。
木々がザワザワとし、夜の闇を濃くしているように見え寒い悪寒がざわりと私を震わせたと思ったときだった。
物凄い風が窓に当たると普段であれば鍵がしまって開くはずがないのに、ガタンと鍵が開き窓が全開した。
「なんじゃ!!」
「なんだ!!」
「何が!?」
3人がそれぞれ驚いた声をあげているけど、私はそれどころではなく、もう一個のヒメの実を抱っこして食べていたせいか、そのまま強く吹く風に舞うように空中に上がってしまうのであった。
うひゃあああああ!!! なんじゃこれーーーー!?
私はといえば大きな金色の果物を頬張っていた。
ヒメの実って名前なんだけど、大きさは葡萄の大きなサイズで丸っこい、味は何故か苺みたいなんだよね。
美味しいから形状は今更気にしないよ私は。
「......ところで師匠、俺的に思うんだけどよ。物資的にはそれなりに用意出来たりはあるんだろ? 倉庫には師匠が作ったもん宝の持ち腐れの如くあったしよ。」
「まあ持ち腐れだろうが腕が鈍るのはいかんせん嫌なんでな。分けに行くのは別に良いんじゃが、どうにも引っかかるんじゃ。」
「引っかかる?なんで?」
ルドルフの疑問にボルトお爺ちゃんは顎髭を摩り、しばし考えたようで私に愚痴ってた内容をこぼす。
「ワシの名を知っておったことが、どうにもな。」
するとルドルフとローラン君が何故か驚いていた。
どうして驚いているのか私にはさっぱりわからないけど、ボルトお爺ちゃんの名前を知っていることじたいが問答みたいだということだけは理解できる。
「そっか、なら慎重にはなるわな。師匠はいくら隣村には別の名前で教えてたって言ってたのに、この伝達は....何かある可能性があるか。」
「お爺ちゃんは有名すぎるもんね、父さんも良く苦笑してたから。」
「......有名すぎるのはローランの父親もだと思うぞ。」
「父さん....確かに有名だから、あの人にこき使われてるんだよ。鬼畜だと僕は思うよ!」
「あははは、奴はお前の父親の事大好きでいじめてるからな。まあ、それを含めて慕っているんだ、おおめにみてやれ。」
「ルドルフさんは僕の父親がこき使われるの賛成派ですか、へえーふーん。」
「あ、えーっと。上司からの命令じゃ、しょうがないと思うよ。それにさあ、あの人って薬師じゃ有名だしな。」
「.......それ、言われると何も反論できないです。」
ぐぬぬーって感じで言いまかされるローラン君に、ルドルフがよしよしと頭を撫でられるも、やられて反論できないローラン君は「子供扱い嫌いなのでやめてください!」と文句を言っている。
まだ子供だし良いと思うんだけど、男の子なりのポリシーが邪魔してるのかなって、ちょっと笑ってしまう。
「まったく話しをずらして遊んでるとこ悪いが、ワシ的には重要なんじゃがのう。」
「あ、ごめんなさいお爺ちゃん。」
「すまん、話しを戻す。俺的な考えとしては、ここの家を空けさせるために偽造した手紙の可能性はあるか?」
「ふむ、可能性としてはあるのう。ここにはアレがあるし、いつもならばトラップとか色々施して行くんだが。もしも姑息な敵ならば考えて仮定したら、物資が足らないのは本当であり何かを想定したとした目的で手紙をよこしてきたと捉えなくもないんじゃよ。」
「確かに。動くんにもメリットとデメリットがあるってことか。うーむ、下手に動けば...ここに奇襲してくる。動かなければ隣村が困るか。」
「まあ...急ぎのようではないし急かされんかぎりは動かないつもりなんじゃ。しかしのう仕事面で世話にはなちょるから無下には出来んし、あとローランを今預かっとる間に危険な目に遭わすと鬼のように怒る奴がいるからな。」
うんうん、ローラン君の父親めっちゃ親バカしてたもんなあ。安全であるから預けてるのに、危険な目に遭わせたらキレそう。
ちらっとみんなを見ればローラン君は妙に納得してて、ルドルフ、ボルトお爺ちゃんを見れば苦笑しつつ嫌そうな感じいる。
そんなとき外の窓が揺れるようにガタガタって音がして私は外を見ると、雨と風が強く吹き荒れている。
木々がザワザワとし、夜の闇を濃くしているように見え寒い悪寒がざわりと私を震わせたと思ったときだった。
物凄い風が窓に当たると普段であれば鍵がしまって開くはずがないのに、ガタンと鍵が開き窓が全開した。
「なんじゃ!!」
「なんだ!!」
「何が!?」
3人がそれぞれ驚いた声をあげているけど、私はそれどころではなく、もう一個のヒメの実を抱っこして食べていたせいか、そのまま強く吹く風に舞うように空中に上がってしまうのであった。
うひゃあああああ!!! なんじゃこれーーーー!?
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