白銀少女と黒猫男子はまた繰り返す

こんぺとうこ

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はじまりのつづき

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天気の良い朝のリビングルーム


そこには、先ほどの毛並みの良い黒猫と白銀髪の少女がいた。

彼女はいかにも不機嫌ですというオーラをかもし出しながら、こんがりと焼けた
はちみつトーストにかぶりついている。

「まだ、怒ってんの?ノア」
黒猫が尋ねた。彼女が返す。
「どこの世界にご主人を起こす時に『死神道具大百科事典』全1045ページ  厚さ7.6センチメートルを飛ばす黒猫がいるの?

少なくとも私は今日初めて経験…
いや、この体をもって体験したわ。」

すると黒猫は少し得意気になって答えた。

「ちゃんとテコの原理を使ったからね!
それはもう綺麗な弧を描いて飛んでったよ」

彼女はそれをきくとより一層ふてくされた顔になった。

「なに?それともボクが起こさないでおいて遅刻した方がよかった?」

それを聞いた彼女はトーストをもぐもぐと
噛み締めながらボソリと

「それは…困る…」

彼女の返答を聞き次第、ふふんと勝ち誇ったような黒猫の

「ならっ、ボクのした行動は契約黒猫として相応しい行動だったね!」


に対し反論できるわけも無い彼女は、
テーブルの上に置いてあった星柄のマグカップに手を伸ばし、
程よく冷めたカフェオレを
口へと運ぶのであった。

あぁ、紹介が忘れていたね
彼女の名前は、ノアで
彼は、その契約黒猫の ゛朔 ゛(さく)だよ。


「あと何分ゆっくりしていい?」

「えっと…、あと15分ぐらいの間に食べて、髪をとかしてきてくれたらいいよ!」

「はーい…」
少女は気だるげにそう返事を返すと
マグカップに残っていたカフェオレを一気に飲み干した。





ーーー17分後ーーー


「ノアーー、まだーー??」
「今行くー」
そういうとノアは白銀色の髪にブラシを
サッサっと2、3回通した。

「も~、また遅れちゃうよお!」
「はいはい、今行くー」

トットットットットツ。

折角、ブラシを通した髪を乱しながら
やってきた。

「おまたせちゃん。」
「もうっ!ほら早くブレザーはおって!」

そう朔に急かせられながら、グレイカラーの
ブレザーに袖を通し外を出る。

するとノアの白銀色の髪は太陽の光を浴びて
より一層、美しく輝いた。

「いけた?ノア」

「うん。おっけい」

「んじゃ、行くよ!」

「あ…」

「ん?なに?」

「帽子忘れた。」

「えぇっ!も、もう!ボクがとってくる!」

そう言い終わる頃には朔はすたこらと
走っていっていた。








これは、とあるけだるげ死神少女と1匹の黒猫よお話である。





~~~はじまりのはじまり 【完】~~~


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