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学園編(初等部)

魔物を討伐

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「リベル様、エジス様。委員会の方々に協力してもらいましょう。」

「セシリア。だけど・・・」

「エジス様、大丈夫です。風紀委員の方々なら生徒達の誘導をスムーズに行えます。」

「他の委員会はどうするの?」
「栽培委員には、薬草の知識があります。」

「でも、それだけでは対処の使用がない。」
「魔法科の方々で、怪我の知識を持っている人がいる筈です。」

「なら、図書委員は情報伝達をしてもらいましょう。報告内容をまとめるのが上手いですから。」

リベルの言葉に頷く。
「ですが先生方の援護も行わなくてはいけません。」

「飼育員と援護に向かいます。」
「いえ、魔法科と騎士科の2年生の半分を先生方の援護にしましょう。」

「各委員のリーダーがいますが、ガーディアンズの1人に残って貰った方がいいですね。」

「セシリア。頼んでいいですか。貴女なら冷静に判断し、対処できます。」

「いいえ、私では無理でしょう。年下である私の指示を信じるのは出来ないと思います。」

「一理ありますね。ならば、私が残りましょう。2人共、ご武運を。」

「はい。」
「了解です。」

何か大切な事を忘れている気がする。私は移動しながら考えた。疑問は2つ。

1つ、何故犯人が8年後まで攻めなかったのか。

8年後は長い月日だ。準備を油断なくしたかったとしても、8年も経てば被害修復は十分。

2つ、ゲーム内のアシンと言う人物がいなかったのか。

主人公が学園に来る前の事は知らない。だけど、高等部のガーディアンズはシスイ様がキングだった。


ゲーム内での初等部の1・2年の騎士科魔法科の共同授業に起きた事件。

王都被害は防げたものの、魔物の大群により生徒の被害は多かった。

しかし、怪我人は多いものの誰1人死者が出る事はなかった。

けれど、1人の生徒が生死をさ迷う重傷者が出た。そんな終わりだった筈だ。

・・・まさかとは思うが、その生徒はアシンではないだろうか。

魔力感知の幅を広げる。もしも私の勘が正しければ大変な事になる。

途中で魔物を討伐しながら、私はリベルと2年生の半数と共に、先生方の援護に向かった。

私もレイピアを鞘から抜き、魔物を討伐していく。
「邪魔だ!」

「何よ!貴方こそ邪魔でしょ!?」
「何だと!?」

「俺がいるのに攻撃するなよ!」
「鈍間なのが悪い。」

魔法科と騎士科は性格が噛み合わず、相性が滅法悪いのだ。

仲が良くしている人もいるが、対立している人が多くて協力して戦うなど出来ない。

陣形が崩れているから、被害者が多かったのではないだろうか。

喧嘩を始めた魔法科と騎士科の生徒に、オークが攻撃を仕掛けた。

喧嘩をしていた2人はオークの攻撃を避けられない。私は身体強化でオークに近づく。

レイピアでオークの持つ大剣を逸らし、突きの攻撃をぶつけた。

見事にオークを討ち取った。その時、魔力感知に反応があった。

「礼を言う。」

「ありがとう。助かった。こいつがいなかったら俺が仕留めていたのに。」

「ふざけるな!」
また、喧嘩を始めた2人。周りも喧嘩をしている。

私は皆が聞こえる声で言い放つ。
「魔物の前では、性別や能力など関係ありません。生きるか死ぬかの2択です。」

私は自分の死亡フラグを消したい。その為には貴方達が喧嘩をしていてはこちらが困る。

そう私は思い告げた。

《リベル視点》

魔法科と騎士科の喧嘩を見て溜息を吐きます。魔物が攻めて来ている時なのですから。

剣を握り魔物を倒します。そんな時、私を呼ぶ声がしたので振り向きます。

「リベル!」
私を呼んだ人物は、ルカでした。

その後ろには、ハイネ様・シオン君・ティアラ嬢がついて来ています。

「セシリアは!」
ティアラ嬢が辺りを見回す、ハイネ様とシオン君も一緒にです。

「リベル、お嬢様はご無事なのですよね!」
「ええ、あそこで戦っています。」

私が向けた視線に皆も見ます。そこには丁度、ゴブリンを倒しているセシリアさん。

「セシリア!」
皆がセシリアさんの所に行こうとした時。

オークが2人の生徒に襲い掛かりました。喧嘩をしていたので、どちらも避ける事が出来ません。

セシリアさんが素早くオークを倒しました。流石と思っていた時、セシリアさんが言いました。

「今ここで、救える命があるのなら協力して戦うべきです。妙なプライドなどいりません!」

その言葉に周りの方々は怒りの声をあげました。しかしセシリアさんは告げます。

「我等は国を守る盾であり、また剣である。仲間と共に国を守るかてであれ。」

凛とした言葉に誰も反論をしません。それもそう、私達は国を守る為に戦っているのですから。

「だからこそ私は、ここで引くつもりなどありません。」

凛とした声で告げたセシリアさんは、レイピアを構えて次の魔物へ攻撃します。

周りを見れば、皆の目つきが変わりました。だから私は告げたのです。

「皆、戦闘準備!」
「「「「はっ!」」」」

私の指示通り動いてくれました。セシリアさんを先頭に私達も後に続きました。

《セシリア視点》

どうしてだろうか。私はただ、悪役になって協力を強制させようとしたのに。

恥ずかしい漫画の台詞を言ったのに。何故に私の後へついて来る。

なんか知らないけど、協力し合ってる。一体何があったの。私の言葉いらなかったとか・・・

恥ずかしい!もう余計な事は絶対言わない。黒歴史になりかねない。

・・・まあ、協力し合ってるんだから結果オーライと言う事にしよう。

魔物を討伐しながら、先生方の元に到着した。

「先生、援護に来ました!」
「何を言ってるの。逃げなさい!」

先生達は野外授業の中で、騎士科と魔法科の喧嘩を目の当たりにしていた。

共に協力出来ないなら、いても無駄と判断したのだろう。被害を抑える為に。

だから、この状況を見て信じられないのだろう。騎士科と魔法科の生徒が協力している姿を。

言っておいてなんだが、私も未だに信じられない。初等部2年の面々がだ。

大きな成長だね。まあ、私としてはそんな事を言ってる場合ではない。

現在の私はコハクと一緒に、アシンの元に向かっている。リベルと先生には報告済み。

私の後ろには茶髪にそばかすのある、桃色の瞳をした美少年がついて来ている。

平民の子で騎士科。名前をルベルクと言うらしい。

アシンの反応近くには2人の気配があった。アシンが押され気味だったので向かっている。

アシンが見えた時、アシンに背後から攻撃を仕掛けようとしている人物がいた。

アシンは戦っている相手で手一杯なのか、背後に来る攻撃を避けられない。

「ファイヤーアロー」
私の詠唱に火の矢が現れる。

放つともの凄いスピードで相手を攻撃した。風魔法を少し使ったので加速したのだ。

何とか間に合ったけど、敵側がとても強そうなんだけど・・・。



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