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刀と新たな問題
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あの模擬戦から週数間、カインとレオンは何度も屋敷へ遊びに来た。
時にシスイ殿下やエジスも遊びに来ていた。今の私は何をしているか、それは下町に出かけている。
仲良くなれば、破滅の道へ進む気がして逃げて来た。
ちゃんと許可は貰っている。下町のワンピースを着ている。髪型は三つ編みだ。
王都の人々は賑わい、美味しそうな香りがしている。お腹が空くが、私の目的は別にある。
剣を見に行く事なのだ!剣はまだ早いと思うが、祖父の付き添いとなっているから心配ない。
祖父のオススメな鍛冶屋があるらしい。私は見たいのだ。
本に記されていた刀を!この国では刀を日の国の剣とされている。
珍しいのもそうだが、切れ味がとても良いらしい。
日本人としては是非見たいのだ。そしたら祖父がオススメの鍛冶屋にあるかもと教えてくれた。
鍛冶屋の場所は王都の少し離れた場所に、小さな小屋が建てられていた。
祖父は気にせず中に入り、叫んだ。
「おい!ドルク、いるかー!」
「叫んでも聞こえとるわ!」
と、怒鳴り声が返って来た。
受付の奥の部屋から出て来たのは、150㎝くらいの身長に焼けた肌をしていた。
容姿は茶髪にエメラルドの瞳をしたドワーフだった。
「久しぶりだな!元気だったか!」
「うるせぇ!用がないなら、出て行け!」
この人達は仲がいいのだろうか?まあ、気の許せる仲なのだろう。
「今日は剣の受け取りとセシリアの頼みで来た。」
「セシリア?」
ドワーフさんは首を傾げている。
「セシリア、挨拶を。」
「初めまして、セシリア・メルファーナと申します。」
「硬い挨拶はいい。俺はドルクだ。」
「よろしくお願いします。ドルクさん。」
「んで、ガイラン。お嬢様が俺に何の様なんだ?」
「知りたい事があるらしい。」
「知りたい事?」
「はい!日の国の剣と呼ばれる刀について、教えて頂きたいのです!」
「刀を知ってるのか?」
「はい!本に書かれていた知識は知っています。」
「で、本物が見たいと?」
「そうです!」
「確かに刀はあるが、俺が作った物じゃない。」
「作ってないのか?」
「作る事は可能だが、少し特殊な剣だから時間がかかるぞ。」
「では、ある刀を見せて頂けませんか?」
「いいぞ。」
そう言って、ドルクさんは部屋の奥へ向かった。
戻って来たら、上質な布に包まれた物を持って来た。
「この刀の名は分からねぇ。しかし作りは日の国の剣で間違いない。」
上質な布を取り現れたのは、真っ白い刀だった。ドルクさんは刀を抜くと刃を見せる。
「成る程、刃文があるからですね。」
「良く分かってるじゃねぇか!日の国の剣の刀にある刃文を出すのは難しい。そうそう真似できる物じゃないからな。」
それからドルクさんと刀や剣の話で盛り上がった。
「貴重な経験をありがとうございました!」
「いや、お前なら大歓迎だ!何時でも遊びに来い!」
「はい!」
私と祖父は帰る事になった。しかし、現在私は1人である。
祖父が用事が出来て行ってしまったのだ。待ち合わせを決めて、おち合う事になった。
なので、私は王都の街を散策している。屋台で焼き鳥を買って食べたり、アクセサリーを見たりした。
私の興味惹かれた本屋さんに入る。少し古いが沢山の本があった。
そこはあまり人がいなかったので、受付のお婆さんと仲良くなった。
そろそろ時間なので、噴水のある西の場所へ向かう。
すると噴水の前で、ギターを引くお兄さんがいた。
青みがかった黒い髪に、スカイブルーの瞳をした美少年だ。10歳くらいかな?
ギターは上手いが、足を止める人は少ない。前世の記憶を持つ私は思った。
路上ライブなら、ギターだけでなく歌わないのかと。
この世界の音楽は、前世に比べ心躍る事がない。音楽は楽しむものだ。
お兄さんの顔は楽しそう。周りを気にしていないらしい。
単純に好奇心と興味から、お兄さんに声をかけた。
「いい曲ですね。」
お兄さんは突然話しかけた私を見て、驚いた顔をしたのだ。
「ありがとう」
「歌わないのですか?」
「うん。君が歌う?」
「いいのですか?」
「いいよ。僕の名はアスター。君の名は?」
「私はセシリアです。」
「セシリアちゃん、歌ってくれる?」
アスターくんは、ギターを引き始める。最初は静かに音がなる。
それに合わせて、私は歌う。
「♪~そよ風にさそわれて~舞い踊る~花びら~~小鳥たちは歌い~精霊は~踊り出す~♪」
この歌は森に動物たちと遊ぶ少女、自然の中で動物たちや精霊と歌い踊る歌。
最後まで歌うと、周りには人が一杯で拍手を送ってくれた。
「ありがとう!君との演奏、とても楽しかったよ!」
「私もです。ありがとうございました!」
祖父がいたので、アスターくんとお別れを言い祖父のもとへ向かう。
《アスター視点》
僕は何時もの様に、噴水の前でギターを引いていた。
「いい曲ですね。」
僕は話しかけられたので、そちらに視線を向けた。
そこには、太陽の光りを集めた金髪に、イエロートルマリンの様な瞳をした可愛い女の子だった。
その子に思わず、見惚れてしまった。女の子と演奏をする事になった。
女の子の名前は、セシリアと言うらしい。僕のギターに合わせてセシリアは歌う。
「♪~そよ風にさそわれて~舞い踊る~花びら~~小鳥たちは歌い~精霊は~踊り出す~♪」
セシリアは透き通る様な美しい歌声で、歌い出した。
街の人々は噴水の前でギターを引く男の子と、その隣で美しい歌声で歌う女の子に足を止める。
こんなにも僕は、音楽を楽しいと思った事はなかった。
終わった時、周りには人が沢山いて、大きな拍手が巻き起こった。
セシリアはお爺さんと歩いて帰っていった。
僕はセシリアの歌う横顔を聡明に思い出す。また、会えるだろうか?
ーー会えたなら、また一緒に奏でたいーー
《セシリア視点》
私は今、自分の部屋で絶望している。原因は父親の言葉にあった。
「セシリア、2週間後に従者が来る。その子はお前の従者だ。仲良くしなさい。」
私は完全に忘れていたのだ。義弟が来る前に従者が来る事を。
ゲームのセシリアは、従者をいじめていた。義弟が来てから従者は義弟についた。
その従者は攻略対象者ではなく、義弟のルートに登場するサポートキャラ。
そのサポートキャラである従者が問題なのだ!攻略対象外だからと侮ってはならない。
その従者も攻略対象者達と共に、セシリアを破滅の道へ追いやるのだから・・・。
冗談じゃない!そんなの絶対お断りよ!いじめなければいいのだ。義弟も一緒に!
私は新たな問題対策に燃えていた。
時にシスイ殿下やエジスも遊びに来ていた。今の私は何をしているか、それは下町に出かけている。
仲良くなれば、破滅の道へ進む気がして逃げて来た。
ちゃんと許可は貰っている。下町のワンピースを着ている。髪型は三つ編みだ。
王都の人々は賑わい、美味しそうな香りがしている。お腹が空くが、私の目的は別にある。
剣を見に行く事なのだ!剣はまだ早いと思うが、祖父の付き添いとなっているから心配ない。
祖父のオススメな鍛冶屋があるらしい。私は見たいのだ。
本に記されていた刀を!この国では刀を日の国の剣とされている。
珍しいのもそうだが、切れ味がとても良いらしい。
日本人としては是非見たいのだ。そしたら祖父がオススメの鍛冶屋にあるかもと教えてくれた。
鍛冶屋の場所は王都の少し離れた場所に、小さな小屋が建てられていた。
祖父は気にせず中に入り、叫んだ。
「おい!ドルク、いるかー!」
「叫んでも聞こえとるわ!」
と、怒鳴り声が返って来た。
受付の奥の部屋から出て来たのは、150㎝くらいの身長に焼けた肌をしていた。
容姿は茶髪にエメラルドの瞳をしたドワーフだった。
「久しぶりだな!元気だったか!」
「うるせぇ!用がないなら、出て行け!」
この人達は仲がいいのだろうか?まあ、気の許せる仲なのだろう。
「今日は剣の受け取りとセシリアの頼みで来た。」
「セシリア?」
ドワーフさんは首を傾げている。
「セシリア、挨拶を。」
「初めまして、セシリア・メルファーナと申します。」
「硬い挨拶はいい。俺はドルクだ。」
「よろしくお願いします。ドルクさん。」
「んで、ガイラン。お嬢様が俺に何の様なんだ?」
「知りたい事があるらしい。」
「知りたい事?」
「はい!日の国の剣と呼ばれる刀について、教えて頂きたいのです!」
「刀を知ってるのか?」
「はい!本に書かれていた知識は知っています。」
「で、本物が見たいと?」
「そうです!」
「確かに刀はあるが、俺が作った物じゃない。」
「作ってないのか?」
「作る事は可能だが、少し特殊な剣だから時間がかかるぞ。」
「では、ある刀を見せて頂けませんか?」
「いいぞ。」
そう言って、ドルクさんは部屋の奥へ向かった。
戻って来たら、上質な布に包まれた物を持って来た。
「この刀の名は分からねぇ。しかし作りは日の国の剣で間違いない。」
上質な布を取り現れたのは、真っ白い刀だった。ドルクさんは刀を抜くと刃を見せる。
「成る程、刃文があるからですね。」
「良く分かってるじゃねぇか!日の国の剣の刀にある刃文を出すのは難しい。そうそう真似できる物じゃないからな。」
それからドルクさんと刀や剣の話で盛り上がった。
「貴重な経験をありがとうございました!」
「いや、お前なら大歓迎だ!何時でも遊びに来い!」
「はい!」
私と祖父は帰る事になった。しかし、現在私は1人である。
祖父が用事が出来て行ってしまったのだ。待ち合わせを決めて、おち合う事になった。
なので、私は王都の街を散策している。屋台で焼き鳥を買って食べたり、アクセサリーを見たりした。
私の興味惹かれた本屋さんに入る。少し古いが沢山の本があった。
そこはあまり人がいなかったので、受付のお婆さんと仲良くなった。
そろそろ時間なので、噴水のある西の場所へ向かう。
すると噴水の前で、ギターを引くお兄さんがいた。
青みがかった黒い髪に、スカイブルーの瞳をした美少年だ。10歳くらいかな?
ギターは上手いが、足を止める人は少ない。前世の記憶を持つ私は思った。
路上ライブなら、ギターだけでなく歌わないのかと。
この世界の音楽は、前世に比べ心躍る事がない。音楽は楽しむものだ。
お兄さんの顔は楽しそう。周りを気にしていないらしい。
単純に好奇心と興味から、お兄さんに声をかけた。
「いい曲ですね。」
お兄さんは突然話しかけた私を見て、驚いた顔をしたのだ。
「ありがとう」
「歌わないのですか?」
「うん。君が歌う?」
「いいのですか?」
「いいよ。僕の名はアスター。君の名は?」
「私はセシリアです。」
「セシリアちゃん、歌ってくれる?」
アスターくんは、ギターを引き始める。最初は静かに音がなる。
それに合わせて、私は歌う。
「♪~そよ風にさそわれて~舞い踊る~花びら~~小鳥たちは歌い~精霊は~踊り出す~♪」
この歌は森に動物たちと遊ぶ少女、自然の中で動物たちや精霊と歌い踊る歌。
最後まで歌うと、周りには人が一杯で拍手を送ってくれた。
「ありがとう!君との演奏、とても楽しかったよ!」
「私もです。ありがとうございました!」
祖父がいたので、アスターくんとお別れを言い祖父のもとへ向かう。
《アスター視点》
僕は何時もの様に、噴水の前でギターを引いていた。
「いい曲ですね。」
僕は話しかけられたので、そちらに視線を向けた。
そこには、太陽の光りを集めた金髪に、イエロートルマリンの様な瞳をした可愛い女の子だった。
その子に思わず、見惚れてしまった。女の子と演奏をする事になった。
女の子の名前は、セシリアと言うらしい。僕のギターに合わせてセシリアは歌う。
「♪~そよ風にさそわれて~舞い踊る~花びら~~小鳥たちは歌い~精霊は~踊り出す~♪」
セシリアは透き通る様な美しい歌声で、歌い出した。
街の人々は噴水の前でギターを引く男の子と、その隣で美しい歌声で歌う女の子に足を止める。
こんなにも僕は、音楽を楽しいと思った事はなかった。
終わった時、周りには人が沢山いて、大きな拍手が巻き起こった。
セシリアはお爺さんと歩いて帰っていった。
僕はセシリアの歌う横顔を聡明に思い出す。また、会えるだろうか?
ーー会えたなら、また一緒に奏でたいーー
《セシリア視点》
私は今、自分の部屋で絶望している。原因は父親の言葉にあった。
「セシリア、2週間後に従者が来る。その子はお前の従者だ。仲良くしなさい。」
私は完全に忘れていたのだ。義弟が来る前に従者が来る事を。
ゲームのセシリアは、従者をいじめていた。義弟が来てから従者は義弟についた。
その従者は攻略対象者ではなく、義弟のルートに登場するサポートキャラ。
そのサポートキャラである従者が問題なのだ!攻略対象外だからと侮ってはならない。
その従者も攻略対象者達と共に、セシリアを破滅の道へ追いやるのだから・・・。
冗談じゃない!そんなの絶対お断りよ!いじめなければいいのだ。義弟も一緒に!
私は新たな問題対策に燃えていた。
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