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剣術の訓練

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稽古場は打ち合いが行われていた。

祖父とカインにレオンの他に、警備兵の5人が木刀で打ち合っている。

「セシリア嬢もいらしたのですか?」
ハルトさんが声をかけて来た。

「ええ、お爺様に稽古をつけてもらう予定だったのですが・・・」

祖父は夢中でカインとレオンに教えている。
「・・・申し訳ありません。」

「謝る事ではありませんよ。」
「しかし・・・」

確かにあれでは祖父に教えてもらう事は出来ない。
普通の令嬢は剣を持たない。

お嬢様が剣を振るうとすれば、辺境伯爵家か剣術の名家ぐらいだろう。

私は剣術の本は何冊も読んだ。構えも見様見真似や本で知識を取り入れたが、変わらなかった。

恐らく、私は基本の構えが出来ていないのだろう。体術でも、基本となる構えから学ぶ。

素人がいくら剣を振るおうと、基本が出来ていないなら話にならない。

「おお!セシリアも来たか!」
祖父は私に気づいた様だ。

「それじゃあ、今から模擬戦やるぞ!」
「「「「ええ!?」」」」

この場にいた人達は驚いた。勿論私も同様に、しかし例外はいるもので・・・。

「本当ですか!」
「やったぜ!」

レオンとカインは喜んでいた。だけどこの模擬戦はおかしいと思う。

目の前には木刀を構えた祖父。隣は木刀を構えたカインとレオン。

いや、何で強い祖父VS私・カイン・レオンなの?

祖父よ。私は基本の型から出来てないんだよ?なのに木刀を持たせて模擬戦?

ーーどう考えても出来るわけないよ!

普通ならそうなるだろう。しかし私はワクワクしていた。

「セシリアも戦うのか?」
レオンとカインに戦えるのかよ。と言う顔をされた。

「はい」
さてと、基本の型が出来ないしどう戦おう?

最初は観察からだね。初めの合図にカインとレオンは飛び出し、祖父へと飛びかかる。

祖父は木刀を横に振るう。2人は勿論、弾かれた。
「威勢がいい事は構わんが、それだけでいいのか?」

「くっそう!」
「まだだ!」

2人は挑むが、祖父は難なくカインとレオンの攻撃を防ぐ。

2人は息も絶え絶え。そんな中、レオンは言う。
「セシリアは・・戦わないのか!?・・なら、向こうで見てればいい!?」

「セシリア!見ているだけか!」
「いいえ。しかし、確実にお爺様には勝てないでしょうね。」

「そんな事、分かってる!」
「どんな手段でもいいから、俺に反撃させてみろ!」

祖父はそう叫んだ。

祖父は私達に本気など全く出していない。祖父は一歩も動かず、反撃もしていないのだから。

ーー私は深呼吸をする。

木刀を右手に肩の位置まで上げ、剣先を前へ向ける。左足を前に右足を後ろへ引く。

そこから一気に地をかける。そして祖父の背後に周り突きの攻撃をする。

これなら反撃はされなくとも、こちらを向く為に動く筈だ。

そう思っていたのだが、祖父は木刀を背後に下から上に振り上げた。

私は走っていた足を止めて、背後へ下がる。
「今の行動は良かったが、俺に背後の攻撃は無理だ」

祖父は後ろを見ている様に私の攻撃を防ごうとした。

反撃されるどころか、攻撃も満足に出来なくなる。

祖父は私にどんな手段でもいいと言った。つまり魔法を使ってもありだと言う事。

私は魔法を練習していても、まだ完璧と言う訳じゃない。

これは一か八かの大勝負。

私は魔力を足の裏に集めた。そしてジャンプをして祖父に木刀を叩きつけた。

しかし、祖父は木刀を横にして防いだ。私は直ぐに後方へ下がる。

私はまだ完璧に魔力操作が出来ない。魔力を集めるにも1箇所しか出来ないのが現状。

それに長く続く訳じゃない。恐らく、私の身体強化の魔法は後2回しか出来ない。

初めて使う魔法だから、身体が慣れていないのだ。小説やゲームの様に上手くいかない。

その為、魔力量は大丈夫でも幼い身体にはしんどいみたい。

「カイン様にレオン様。まだ動けますか?」
「ああ」
「おう」

レオン様はそう言うが、足が震えている。隣のカインも同様にだ。

「一人で戦っても、お爺様の足元にも及びません。ですから、手を組みませんか?」

「・・・いいぞ。」
「おもしれぇ!」

「私がお爺様に最大の攻撃をぶつけます。」
「「了解!」」

私は木刀に魔力を集中させる。捨身の一撃であり、今の私が行えるカウンター。

私は一直線に祖父に向かう。風魔法を少し纏わせた木刀が突っ込む場合、砂煙が舞う。

「ご覚悟を!」
しかし祖父は受け止めた。けれどまだだ!

私は祖父の受け止めたと同時に、私の木刀を祖父に引っ掛けた。

しかし祖父は私の動きを読んでいたのか、私を弾いたのだ。

勿論私は、地面に転がる。だけど私は囮である。

「もらった!」
「よそ見するなよ!」

「やりよるわ!」
祖父は豪快に笑い2人を軽く弾く。

「しかし、まだまだだ!」
「それは、どうかな?」

「何?」
「あんまり、甘く見んなよ!」

カインとレオンの言葉に首を傾げる祖父。私は気配を最大まで消して、祖父に木刀で突く。

勿論、最後に残しておいた後1回の魔法を使った一撃だ。

「!?」
祖父は流石に気づいたらしい。だけど、カインとレオンが木刀で祖父に攻撃を仕掛けてた。

同時に3人を防ぐには、避けるか反撃するかのどちらだろう。

結果は・・・3人防がれたよ。最初に2人を弾いて次に私の攻撃を容易く受け止めたのだ。

「お前達、最後の攻撃は良かったぞ!」
祖父はそう笑うが、容易く受け止められたのだ。

とてもショックである。

「おい、セシリア!」
「何ですか?カイン様。」

「俺はお前の攻撃を凄いと思った。だけど、次は負けない。」

「俺もだぞ!今日から俺達はライバルだな!」
仲が良さそうで何よりだが、私はあまり乗り気じゃない。

私は国外追放や逃げる事になった時、無事に逃げ切る事が出来るだろうか?

手の内をあまり見せたくない。←セシリアは一般と少し考えがずれている。

私が考えている間、カインとレオンはとても仲良くなっていた。

《アリエル視点》
私はセシリアの祖母、アリエルだ。

私は今、驚いている。セシリアが剣術を習うと聞き義娘であるエレインと共に稽古場にいた。

ガイランはカインとレオンにセシリアと模擬戦を始めるらしい。

ガイランはカインとレオンの相手をしている。セシリアはただ観戦していた。

恐らく、見ているのではなく観察・分析しているのだろう。

セシリアが木刀を構えた。構え方が独特で見た事がない。

けれどセシリアの纏う雰囲気が少し変わった。

そこからは驚いた。魔法を学んで少しのばす、なのに魔力操作に身体強化を使っているのだから。

一番驚いたのは、ガイランが木刀で弾いた時だ。

恐らくガイランは気づいていた。セシリアが生半可な剣術を身につけていないと。

だから少し強めにセシリアを弾いたのだ。

なのに、5歳の子供・・あまり剣術を身につけていないセシリアが弾かれたなら、起き上がる事は難しい。

けれど違ったのだ。セシリアは弾かれたと同時に、身体を回転させた。

回転を利用し、勢いを逃したのだ。そして見事な受け身を取り、体制を整えた。

あの動きから、セシリアは剣術ではないが、身体を鍛えていた事は明白だ。

私は仲良く会話する3人を見て、微笑んだ。




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