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第3章・レイフィス獣王国

40,新たな任務

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助けて欲しい子達?女の子の言葉から、早く助けないといけない事は分かった。

「どこにいるのか、分かりますか?」
女の子に大体の場所を聞く。

「ダンさん。少し、行って来ます。」
「レイラ1人じゃ危険だ。」

「俺達が、ついて行く。」
シリウス君の言葉に頷くユリウス君。

私達3人で、女の子が言っていた子達を助けに行く。

女の子の教えてもらった場所は、動物が沢山いた。

だが、どの動物も吠えもしなければ、動きもしない。

感情が全くない様な子達だった。この子達は一体……。

「思い出しました。」
「何か知ってるんですか?」

ユリウス君の話では、この子達は売る為に育てられた子達だそう。

必要最低限の食事しか与えず、遊ばせもしない。愛情も貰えず生きていたそうだ。

そう言う会話を何度か、聞いた事があるらしい。

密売と何か関係があるのだろうか?もし、あるのなら調べないと。

「レイラ、この子達、どうする?」
「勿論、保護しますよ。」

当たり前である。
「「ミラ!」」

男の子と女の子がこちらへ来た。その後に続き、ダンさんがこちらへ来る。

恐らく、追いかけて来たのだろう。男の子と女の子は、1匹の犬を抱いた。

2人が飼い主なのだろう。犬は女の子の顔を舌で舐める。

感動の再会だね。
「これは一体……。」

ダンさんにユリウス君の説明を話す。
「酷い事するな。」

「徹底的に潰すべきですね。久しぶりに、やる気が出ました。」

「何言ってんだ。レイラは、暴れる事に参加できないぞ。」

「何故ですか。」
こうなったら、1発ぐらい殴りたい。

「被害者の傷の手当と、心のケアだ。この子達も任せる事になる。」

そう言われたら、頷くしかないじゃないか。私は、被害者の傷の手当てに向かった。

闇ギルドと闇オークションのスタッフ達を、全て捕らえる事が出来た。

闇オークションに参加していた、貴族達は勿論、闇取引をしていた者達も捕らえた。

事態の収拾に、忙しい毎日になるだろうな。そう思わずにはいられない程の量。



あれから数日が経過した。私が無事である知らせは出された。

皆はとても喜んでくれた。私は、あの事件から、子供達の所へ行っている。

怪我や体調の具合、心的ショックを見る為である。

勿論、雑務もこなし、後処理も徹夜で行いましたとも。

そのお陰で、ここ数日は寝不足である。頑張っても減らない書類。

あの事件で暴れた騎士達の後処理を、私が行っているのである。

心配させた罰らしい。私は今までサボっていたのではなく、ちゃんと働いていた。

しかし、今回の私の働きは伏せてもらっている。目をつけられたくないし。

だから、何も言い返せないのだが、苛つきはある。

それを分かっているからか、ここ数日はシオン団長とシン副団長が訓練に付き合ってくれる。

書類の片付けの調整を、して欲しいのだけどね。無理だろうけど。

今日も書類の山を片付けている。やる気はないが、そろそろ本気で終わらせたい。

何故スピードを落としているかと言うと、次から次へと仕事を渡されるから。

これ幸いにと、自分の仕事を持ってくる馬鹿がいるのである。

それが、カイトさんとライクス隊長である。覚えてらよ。

と、先輩と隊長に向かって言うべきではない事を、思ってしまうのも仕方ない。

徐々に不機嫌になり、無意識に殺気を出しつつある私。

ああ、子供達の前では抑えてるよ。怖がられたらダメだからね。

でも、いつ爆発してもおかしくないね。まあ、やり返しの準備はしてるけどね。

いや、やられっぱなしは嫌だ。ここは1発、痛い目にあってもらう。

勿論、シオン団長達への要求も忘れない。だが、今日も平和に生きている。

「レイラ、この書類をシオン団長に届けてくれ。」

カイトさんの言葉に、自分で行って欲しいと思うが口には出さない。

面倒事になるのは、目に見えているからである。

私は書類を持ち、シオン団長の執務室へと向かったのである。



「失礼します。」
私はシオン団長に書類を出す。

要件は終わったので、退出しようとしたら止められた。

「仕事は捗っていますか?」
ええ、お陰様で。

「そうですね。仕事場を移動したいくらいです。」

「それは良かったです。ですが、職場移動をする気はないのでしょう?」

「心は移動に賛成していますよ。」
「現状がそれを許してはくれないですか。」

「そうかも、しれませんね。」
含み笑いをするシオン団長。

「毎日、子供達の様子を見ているのでしょう?報告がありましてね。」

「まあ、乗りかかった船と言いますからね。」
「気になるのでしょう?」

私はシオン団長から、シリウス君とユリウス君の事を聞いた。

元気に生きていて、何よりである。子供達の色々な話を聞いて安堵する。

大きな心の傷は、まだ癒えないだろう。だが、楽しい事があると知って欲しい。

彼らの未来が幸せである様、私は祈る事しかできないから……。


「ここからは、悪の種についての話です。」
最悪の闇の物語に出て来る言葉。

「ルネスがその事について、調べています。レイラも加わりその調査をお願いします。」

「分かり……。」
「失礼するよ。」

私の言葉を遮り、ノックもせず入室して来たのは、ルネス団長だった。

「ノックをしてくれませんか?」
「いいじゃないか。知り合いだからね。」

「私やシンだけならまだしも、客人がいたらどう……。」

「シオンが、レイラさんも調査に加わるって言ったから、飛んできました!」

シオン団長のお叱りなど、無視なルネス団長は満面の微笑みだ。

私を巻き込まないで欲しい。青筋を浮かべるシオン団長を見る。

「ルネス、無視とはどう言う事ですか?」
腹黒い微笑みのシオン団長。

「意中の相手を口説いてるから、もう少し待ってくれる?」

私は巻き込まない様、壁になろうと移動しようとした。

しかし、ルネス団長が手を離してくれない。もう一度言う。私を巻き込むな。

部屋の中は、不穏な空気に包まれる。私はそんな空気を無くすべく声をかける。

「シオン団長、1つお聞きしても、宜しいでしょうか?」

「何ですか?」
「何故、私なのですか?」

資料を調べるよりも、休暇もらって眠りたいんだけど。

「貴女なら、あの人について行けると思ったからです。」

「あの人、ですか……?」
「行ってみれば分かりますよ。」




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