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第2章・第3騎士団と魔道師団

21,面倒事はお断り

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「話したい事……」
言葉は途切れた。

いや、第3者の介入により、ノエル君の言葉が掻き消されたと言うべきか。

「ノエル!レイラさん!丁度良かったです!魔導士として、話があるんです!」

誰?腰まである白金の髪に、エメラルドの瞳をした美青年だ。

「団長…僕が先。」
「……譲る気は?」

「ない。」
「そうですか、なら……」

何か雲行きが怪しい様な……。
「3人で話しましょう!」

そうでもなかったーー!!
「落ち着け。」

紫色の髪に銀の瞳をしたイケメン。この人、誰かに似ている様な……。

「ルネス、レオン。待って下さい。」
シオン団長……えっ?

ルネス?レオン?まさかの魔導士団団長と第1騎士団団長?

うわー。関わりたくない人種だ。ルネス・ウルベール。

魔導士団団長で、白金の髪にエメラルドの瞳をしている。

第1騎士団団長のレオン・フィリスロード。紫色の髪に銀の瞳をした人。

「さっきの魔法についてとか、色々聞きたいんですよ!」

「お断りします。」
「えっ?」

「お断りします。」
女性に初めて断られた様だ。

ルネス団長とレオン団長が、驚愕の眼差しを向けて来る。

「面白い奴だな。」
シオン団長の後ろに、第3騎士団団長。

名前は確か、グレン・エドワード。赤いメッシュが入った癖のある黒髪を束ねている美形。

「女性なら、喜んで付いてくるけどな。」
「お引き取りをお願いします。」

「まあまあ、話くらいは聞いて貰いますよ。」
「団長命令ですか?」

「さあ?どうでしょう。」
「……分かりました。」

「良かったです。了承して貰えて。」
「何で、いるの?」

「ノエルだって魔法が気になったから、会話しに来たんでしょう?それと同じです。」

魔法馬鹿なのか?そう言う人種に関わると、巻き込まれたら面倒だよね。

どうやれば、関わり合いにならずに済むのだろうか?

私達は、部屋を移して会話した。
「それで、あの魔法は何ですか?」

「黙秘します。」
「どうやって考えたんですか?」

「偶々です。」
「何属性ですか?」

「見たままです。」
「おい、話す気ねぇだろ。」

「当たり前ですね。シオン団長なら兎も角、現時点で貴方方に話すのは不利でしょう。」

「そらそうだな。それに、赤の他人に自分の情報渡す訳ないもんな。」

「それが妥当な筋ですね。レイラ、貴女は正しい判断ですよ。」

シオン団長のお墨付きだから、不敬罪にはならないと思う。

「なら、親しい仲になれば、教えてくれるんですね。」

「えっ?」
「そう来ますか。」

「予想通りだろ?」
「まあ、そうですが……。」

……あっ、何か妹のリリーが言ってたな。ルネス団長の事を。

確か、ルネス団長は、モテる癖に女性の噂が一切ないって……。

理由はどうでもよくて、聞いてない。
「レイラさん、婚約しましょう。」

「嫌です。」
即答である。

当たり前だ。
「なら、お付き合いを。」

「絶対、嫌です。」
恐らく、私の目は据わっているだろう。

「これでも優良物件と言われてますよ。」
優良物件って……。

何か売り込みに来たんだけど……。どう言う事だろうか?

「レイラは、ルネスの好きなタイプをご存知ですか?」

「知らないみたいだな。ルネスの好きなタイプは皆が知っている筈なんだがな。」

「すいません。興味がないもので。」
「ぷっ!やっぱり面白いな!お前!」

吹き出し笑いする所があっただろうか?グレン団長は、笑うツボが低いのかな?

「それで、ルネスの好きなタイプだけど、自分より強い相手だ。」

「もう一つは、自分の知らない知識を持つ者。ですね。」

いや、後者は兎も角、前者なんて中々いないでしょ。

「団長、僕、最初。」
「出遅れたのは、ノエルでしょう?」

「でも、相手にされてない。団長。」
「ほう……いい度胸ですね。」

何か、部屋の空気が悪くない?まあ、いいや。この部屋から早く出たいし。

「シオン団長。私は明日に備え、退室させて頂きます。」

「構いませんよ。」
「では、皆さん。失礼します。」

騎士の礼をして、部屋から早々に脱出した。まだ、レイラは知らない。

伯爵家の長男であり、魔導士団団長のルネス・ウルベールから……。

そして、侯爵家の次男のノエル・セレオレインの両名から婚約者候補の紙が届いたと言う。

勿論、レイラの実家にね?その時、子爵家では、当主の悲鳴が街まで聞こえたとかないとか。

レイラが知る事になるのは、ナイトスティア祭が終わってからだそう。


次の日ーー
ナイトスティア祭2日目。

第1試合は、アビトさんVSセレス君である。2人の戦いは凄かった。

剣の攻防は勿論、魔法と機転の良さは驚きを隠せない。

いや、他の試合でも思ったけど、前世と比べたら、魔力がなくても皆強すぎだ。

ああ、第1試合の勝者は、アビトさんだった。どちらが勝ってもおかしくないし。

アレンさんも、白熱な試合をしていたよ。第1騎士団のガノスさんとね。

こっちはアレンさんが勝利した。私も順調に勝ち進んだよ。

ただね?この日に優勝者が決まるから、覚悟はしていた。

だが、私は余程運がないらしい。いや、ポジティブ思考なら、運がいいと言うべきかな?

どうして、対戦相手がアビト・ソードリオなのだろうか?

何故、強い人ばかり当たるのだろう。あり得ないよねー。

私、本気で負けるかもしれない。転生者だけど、チート能力は持ってない。

私とアビトさんは剣を構える。試合合図の声が鳴り響くが、私は迂闊に動く気はない。

素早く間合いに入って来たアビトさん。振り上げられた剣を受け止める。

重っ!私はギリギリである。セレス君はあの細身で、剣を受け止め魔法攻撃を……。

取り敢えず、相手のペースに合わせるつもりはない。

私とアビトさんは、剣の攻防と魔法の攻防になった。

疲れも溜まっている筈なのに、この動きはありなのだろうか?

背中を逸らせ、アビトさんの攻撃を避ける。バク転をして距離を取る。

しかし、追いかけて来るアビトさん。私はフェイント攻撃を仕掛ける。

フェイント攻撃に、気を逸らしている隙に腹に一撃蹴りを喰らわせる筈だった。

何と、アビトさんは私の膝を掴み、蹴りを受け止めた。

アビトさんに、逆に攻撃できる隙を与えてしまうとは……。

私は体勢を支えている右足を、ジャンプしてアビトさんに蹴りを向ける。

アビトさんは、直ぐに距離をとった。
「凄いな。俺の攻撃について来るとは……。」

予想外だったのだろう。無表情の顔だったアビトさんの顔は、少し変わったと思う。

アビトさんが構えを変える。あの構えって、セレス君に喰らわせた攻撃じゃあ……。

アビトさんの剣に雷が……。
「雷帝の稲妻」

雷が白き虎、ホワイトタイガーの形となる。アビトさんが突っ込んで来た。

普通の防御では、確実に感電する。放出される雷を何とかしないと……!




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