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第1章・第2騎士団
10,団長からの課題
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私達は無事に、第2騎士団の寮へ戻って来れた。
次の日はご褒美に休日……になる事はなく、普通に勤務する。
理由は、特に大した怪我をしていないからだそうだ。
怪我は少なくても、疲労困憊なのは変わらないと思う。
「レイラ、あの時の戦いはありがとう。助かったよ。」
「いえ、気にしないで下さい。」
「……ごめん。」
頭を下げるアレンさんを疑問に感じる。謝罪する事はしていないと思う。
「前に僕は仲間を信用していない様に感じるって、レイラが言った事……。」
確かにそんな感じの事、アレンさんに言った気がする。
「多分、あってるんだと思う……。だけど、第2騎士団、レイラなら信じられると思う。」
アレンさんが手を差し出して来た。
「これから、宜しく。」
その微笑みは、今まで見てきた飾られた笑みではない事は分かった。
「宜しくお願いします。」
今度こそ、私達は握手を交わした。
私達が事務室へ向かうと、凄い勢いで突っ込んで来る少年。
「無事でよがったー!」
アルス君が突っ込んで来た。
私は直ぐに躱したが、アレンさんは私が前にいたのでアルス君が見えなかった。
つまり、アルス君の強烈な突進をまともに受けたのである。
「ぐっ……!?」
アレンさんの顔は真っ青だ。
「無事に戻って来たか。良かったな。」
「ライクス隊長もお元気そうで何よりです。」
「な、何……。」
「何故、散らかっているのですか?」
「……いや、書類が沢山あったから。」
「書類だけでここまでいきますか?」
「いきません……。」
「ですよね?」
私達の仕事のスタートが、片付けで始まるのだ。正直に言って無駄な時間だ。
「逃がしませんよ、ライクス隊長?」
「………。」
何故、大掃除が始まるのか……すんなりと、仕事をしたいものだ。
数日後、私とアレンさんはシオン団長に呼び出された。
「失礼します。」
ノックをして入室した。
部屋には、シオン団長とシン副団長ともう一人。
薄紫の髪に銀の瞳をした美少年、名前は確かセレス・フィリスロード。
試験の時に名を呼ばれた、10名の内の1人だった筈だ。
「お前達には、連携を覚えてもらう。」
「団長!お呼びっすか!」
ノックをせずに入って来たのは、ヒューズ先輩に黒髪の美青年。
「お前達とヒューズ達で、模擬戦を行なってもらう。」
「連携をとって俺達を倒すっす!」
「「「はい。」」」
そして、模擬戦が始まったのだが、連携は無理だな。
「俺、協力する気一切ないから。」
セレス君にそう言われた。
「でも、連携する事が課題だよ。」
「あんたはいいけど、君は嫌。」
セレス君は私を見る。
「私ですか。」
「当たり前。俺達のスピードについて来れるかも怪しいし。」
「レイラは強いよ。」
「なら、君達だけで連携組めば。」
そう言って、離れて行った。
「僕達だけで連携を組もうか。」
「模擬戦次第ですね。」
私達は剣を構える。
「始め!」
セレス君が仕掛ける。
黒髪のクロード先輩に、剣を向け戦っている。なら、私の相手はヒューズ先輩か。
双短剣は剣に不利な筈なのに、簡単に捌かれる。
アレンさんも参戦しているが、決定打の一撃を叩き込めない。
「はーい。君の負けね。」
「なっ!?」
クロード先輩とセレス君が戦っていた筈だった。セレス君は固まっている。
クロード先輩は、鉤爪をセレス君に向けている。
「はい。君は終わりだよ。」
セレス君は糸が切れた様に尻餅をつく。
「どうする、レイラ。」
「……私がクロード先輩と戦います。」
「気をつけて。」
「アレンさんもご武運を。」
「次はレイラちゃんか。宜しくね。」
「はい。」
「でも、もう終わりだよ。」
私の身体は動けない。
まるで、抑えられているかの様だ。だけど、まだ鉤爪を向けられた訳じゃない。
私は風魔法でクロード先輩との距離を取った。すると、私の身体が動く様になった。
どう言う原理かは知らないが、クロード先輩との距離は考えて戦わないと……。
クロード先輩がこちらに走って来た。風魔法を地面に通す。
クロード先輩の鉤爪を剣で受け止めるも、また動けなくなった。
だけど、張り巡らせた風魔法の攻撃で動ける様にする。
「へーえ。やるね。」
「私にはその攻撃は効きませんよ。」
「みたいだね。」
叩きつけられる鉤爪を剣で防ぐ。
「だけどさ。攻撃の方法も手段も沢山あるんだよね。」
模擬戦の結果は、3人共負けた。
「君達さぁ、連携の意味分かってる?」
「アレンとレイラは、少しだけ連携はあったっす。だけど、まだまだっすね。」
ヒューズ先輩とクロード先輩が立ち去った後、セレス君も去ろうとした。
「セレス!」
「……何?」
「作戦を立てよう。俺達は連携すべきだと思うよ。」
「僕には関係ない。そっちで勝手にすればいい。」
そう言って、行ってしまった。
「当分、協力関係は無理そうですね。」
数日が経過しても、ヒューズ先輩とクロード先輩には勝てていない。
手加減されているにも関わらずだ。今日は休日なので、気分転換に街へ行く。
つもりだった……のだけど、セレス君が真剣に素振りをしているのが目に入った。
「何?」
「すいません。目に入っただけです。」
「目障りなんだけど。用事がないんなら、さっさと向こうに行ってくれる?」
「用事があればいいのですね。」
「はっ?」
私は刃の潰れた訓練用の剣を構える。
「勝負といきましょう。」
「嫌だね。」
「負けるのが怖いのですか?」
「ちっ、その減らず口が叩けない様にしてあげるよ。」
試合開始の言葉はなく、この葉が落ちたと同時にどちらも動く。
セレス君が叩き下ろす様に、振り下ろされた剣を受け止める。
どちらも譲る事なく、攻防戦が始まる。
「何故、連携をしようとしないのですか。」
「うるさい!お前に何が分かる!」
「!?」
攻撃の力が増した!私は距離を離しながら攻撃を躱した。
「兄に比べられる苦しみも、努力しても認められない無念さも!」
兄?兄弟に比べられる事は苦しく、努力しても兄弟と比べられる事はある。
それが理由で、兄弟関係や家族関係が壊される事も。
「兄は優秀で天才。弟は未熟で努力が足りないと嘲笑われる気持ちも!」
確か、第1騎士団の団長の弟が入団したと、噂で聞いたな。
まさか、セレス君が?いやいや、それはない……と思いたい。
「分かる訳がありません。同じ人間であれど、感情と人生は別ですからね。」
「だったら……」
セレス君の言葉を遮る。
「けれど、認めて欲しい人に、認めてもらえない辛さはあります。」
そう。私は努力した。だけど、師匠に認められた事は一度もない。
自分の努力が足りないと頑張っても、頷く事さえされなかった。
次の日はご褒美に休日……になる事はなく、普通に勤務する。
理由は、特に大した怪我をしていないからだそうだ。
怪我は少なくても、疲労困憊なのは変わらないと思う。
「レイラ、あの時の戦いはありがとう。助かったよ。」
「いえ、気にしないで下さい。」
「……ごめん。」
頭を下げるアレンさんを疑問に感じる。謝罪する事はしていないと思う。
「前に僕は仲間を信用していない様に感じるって、レイラが言った事……。」
確かにそんな感じの事、アレンさんに言った気がする。
「多分、あってるんだと思う……。だけど、第2騎士団、レイラなら信じられると思う。」
アレンさんが手を差し出して来た。
「これから、宜しく。」
その微笑みは、今まで見てきた飾られた笑みではない事は分かった。
「宜しくお願いします。」
今度こそ、私達は握手を交わした。
私達が事務室へ向かうと、凄い勢いで突っ込んで来る少年。
「無事でよがったー!」
アルス君が突っ込んで来た。
私は直ぐに躱したが、アレンさんは私が前にいたのでアルス君が見えなかった。
つまり、アルス君の強烈な突進をまともに受けたのである。
「ぐっ……!?」
アレンさんの顔は真っ青だ。
「無事に戻って来たか。良かったな。」
「ライクス隊長もお元気そうで何よりです。」
「な、何……。」
「何故、散らかっているのですか?」
「……いや、書類が沢山あったから。」
「書類だけでここまでいきますか?」
「いきません……。」
「ですよね?」
私達の仕事のスタートが、片付けで始まるのだ。正直に言って無駄な時間だ。
「逃がしませんよ、ライクス隊長?」
「………。」
何故、大掃除が始まるのか……すんなりと、仕事をしたいものだ。
数日後、私とアレンさんはシオン団長に呼び出された。
「失礼します。」
ノックをして入室した。
部屋には、シオン団長とシン副団長ともう一人。
薄紫の髪に銀の瞳をした美少年、名前は確かセレス・フィリスロード。
試験の時に名を呼ばれた、10名の内の1人だった筈だ。
「お前達には、連携を覚えてもらう。」
「団長!お呼びっすか!」
ノックをせずに入って来たのは、ヒューズ先輩に黒髪の美青年。
「お前達とヒューズ達で、模擬戦を行なってもらう。」
「連携をとって俺達を倒すっす!」
「「「はい。」」」
そして、模擬戦が始まったのだが、連携は無理だな。
「俺、協力する気一切ないから。」
セレス君にそう言われた。
「でも、連携する事が課題だよ。」
「あんたはいいけど、君は嫌。」
セレス君は私を見る。
「私ですか。」
「当たり前。俺達のスピードについて来れるかも怪しいし。」
「レイラは強いよ。」
「なら、君達だけで連携組めば。」
そう言って、離れて行った。
「僕達だけで連携を組もうか。」
「模擬戦次第ですね。」
私達は剣を構える。
「始め!」
セレス君が仕掛ける。
黒髪のクロード先輩に、剣を向け戦っている。なら、私の相手はヒューズ先輩か。
双短剣は剣に不利な筈なのに、簡単に捌かれる。
アレンさんも参戦しているが、決定打の一撃を叩き込めない。
「はーい。君の負けね。」
「なっ!?」
クロード先輩とセレス君が戦っていた筈だった。セレス君は固まっている。
クロード先輩は、鉤爪をセレス君に向けている。
「はい。君は終わりだよ。」
セレス君は糸が切れた様に尻餅をつく。
「どうする、レイラ。」
「……私がクロード先輩と戦います。」
「気をつけて。」
「アレンさんもご武運を。」
「次はレイラちゃんか。宜しくね。」
「はい。」
「でも、もう終わりだよ。」
私の身体は動けない。
まるで、抑えられているかの様だ。だけど、まだ鉤爪を向けられた訳じゃない。
私は風魔法でクロード先輩との距離を取った。すると、私の身体が動く様になった。
どう言う原理かは知らないが、クロード先輩との距離は考えて戦わないと……。
クロード先輩がこちらに走って来た。風魔法を地面に通す。
クロード先輩の鉤爪を剣で受け止めるも、また動けなくなった。
だけど、張り巡らせた風魔法の攻撃で動ける様にする。
「へーえ。やるね。」
「私にはその攻撃は効きませんよ。」
「みたいだね。」
叩きつけられる鉤爪を剣で防ぐ。
「だけどさ。攻撃の方法も手段も沢山あるんだよね。」
模擬戦の結果は、3人共負けた。
「君達さぁ、連携の意味分かってる?」
「アレンとレイラは、少しだけ連携はあったっす。だけど、まだまだっすね。」
ヒューズ先輩とクロード先輩が立ち去った後、セレス君も去ろうとした。
「セレス!」
「……何?」
「作戦を立てよう。俺達は連携すべきだと思うよ。」
「僕には関係ない。そっちで勝手にすればいい。」
そう言って、行ってしまった。
「当分、協力関係は無理そうですね。」
数日が経過しても、ヒューズ先輩とクロード先輩には勝てていない。
手加減されているにも関わらずだ。今日は休日なので、気分転換に街へ行く。
つもりだった……のだけど、セレス君が真剣に素振りをしているのが目に入った。
「何?」
「すいません。目に入っただけです。」
「目障りなんだけど。用事がないんなら、さっさと向こうに行ってくれる?」
「用事があればいいのですね。」
「はっ?」
私は刃の潰れた訓練用の剣を構える。
「勝負といきましょう。」
「嫌だね。」
「負けるのが怖いのですか?」
「ちっ、その減らず口が叩けない様にしてあげるよ。」
試合開始の言葉はなく、この葉が落ちたと同時にどちらも動く。
セレス君が叩き下ろす様に、振り下ろされた剣を受け止める。
どちらも譲る事なく、攻防戦が始まる。
「何故、連携をしようとしないのですか。」
「うるさい!お前に何が分かる!」
「!?」
攻撃の力が増した!私は距離を離しながら攻撃を躱した。
「兄に比べられる苦しみも、努力しても認められない無念さも!」
兄?兄弟に比べられる事は苦しく、努力しても兄弟と比べられる事はある。
それが理由で、兄弟関係や家族関係が壊される事も。
「兄は優秀で天才。弟は未熟で努力が足りないと嘲笑われる気持ちも!」
確か、第1騎士団の団長の弟が入団したと、噂で聞いたな。
まさか、セレス君が?いやいや、それはない……と思いたい。
「分かる訳がありません。同じ人間であれど、感情と人生は別ですからね。」
「だったら……」
セレス君の言葉を遮る。
「けれど、認めて欲しい人に、認めてもらえない辛さはあります。」
そう。私は努力した。だけど、師匠に認められた事は一度もない。
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