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進路と穴
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シグレ島での一件が片付いて三日が経ちました。
僕たちは、まだシグレ島に滞在中です。
その間、遊んでいた訳ではありませんよ。
色々と情報を集めていたのですから。
まず何より大事なのはサーシャ様の過去です。村の人の話しによると、幼いサーシャ様を父上が連れて来たということ。
つまり、サーシャ様の産まれた村ではなかったということです。
それに母上のことを知っている人もおりませんでした。
サーシャ様は子供の時から、この村で他の子供と同様に育っていたのですね。
サーシャ様に関しては、これ以上の情報は特にありませんでした。
そこで僕は、父上であるディミトリさんにスポットを当てた情報収集に切り替えました。
そうすると、今後の進展に関わりそうな情報を掴みました。
そもそもディミトリさん自体謎が多い方でした。
生い立ちは勿論のこと、どこかの国の兵士でもなかった。
しかし、いつしかレト大陸では知らない者はいない大剣豪として名を馳せていました。それは、まるで突然現れた雷のごとくです。
最後は以前にも申していた通り、現ソルディウス国の黄金の剣士ダマンに敗れて、この世を去りました。
その謎多き剣士ディミトリさんには友人が一人居られたそうです。
その男の名前はパーク。
全く聞いたことの無い名前でした。
パークは現在、フォンダン国に住んでいるそうです。
このフォンダンという国は数年前まではキリエスの一部でした。
しかし、ソルディウス国がキリエスからの独立宣言を出すと同時にフォンダン国も同じくキリエスからの独立を果たしました。
つまり大国であったキリエスが三分割されたのです。
ちなみに、このフォンダンという名前はグラノールさんの弟子であった、天才魔法剣士フォンダンから取られたという話しです。
なぜ、ギアン大陸の魔法剣士であるフォンダンから、このレト大陸の国の名をつけたのかは不明です。
「僕の村人からの調査で得た情報は、こんなところです。」
「私は父のこと覚えているけど、殆んど知らない。そのパークって人に会ってみたいわ。」
これで決まりですね。
僕らが次に向かうのは、フォンダンですね。
そして、そこでパークという男を探しディミトリさんのことを聞く。そのことで、サーシャ様の過去も明らかになるかもしれません。
「えーっ、サーシャたちはフォンダンに行くんだ。」
「うん。シエルはどうするの?」
「そうだね……私も行く。いいよね?」
「大歓迎です!御一緒しましょう、シエルさん。」
僕は興奮冷めやらぬです。一度だけでも、お会いしたかったエルフの美人さんと、一緒に旅できるチャンスなんてこれが最後でしょう。
僕はチャンスを、夢を掴みますよ絶対に。
「目が怖いぞピート。お前はもう、不審者通り越して変質者だ。」
何と言われても構いません。僕の野望――夢が叶うのなら。
「シエルみたいな強い魔法使いが一緒なら助かるわ。」
「本当はね、キリエスに行くつもりだったんだけど、私もディミトリのこと知りたいの。」
「えっ!?シエルも父のこと知っているの?」
「う、うん。ちょっとだけね。」
シエルの反応が何やら怪しかったですね。もしや過去に何かあったのかもしれませんね。
僕は、そういう事には敏感なんですよ。
「そうか、父は知り合いが多いな。ところでシエルはキリエスに何しに行く予定だったの?」
ああ!サーシャ様、そこは深く掘り下げて聞き出さなくてはいけませんよ。父上との関係を。
愛人だったのかもしれませんよ。
「――キリエスにね、穴があるのよ。」
穴?
「も、もしかしてそれって魔法の穴って言われている、あの穴?」
サーシャ様は驚きを隠せません。もちろん僕もです。
グラノールさんが探していたものならば大発見なのではないでしょうか。
「そうそう、その穴だよ。でもね、まだ確実じゃないよ。可能性があるってだけ。」
まあそれはそうでしょう。そんなに簡単なものではないはずです。
「シエル、その魔法の穴ってキリエスの何処にあるのよ?キリエスっていっても滅茶苦茶広いじゃない。」
確かにそうですね。以前の超大国だった頃のキリエスに比べれば相当、狭くなりましたけど、まだまだ大国ですからね。
「フッフッフッ。聞いて驚くのだ諸君。魔界と繋がるといわれている魔法の穴は、キリエスの首都マビン・グラスにあるドレイク三世の居城、グラス城の下だ!」
僕たちは、まだシグレ島に滞在中です。
その間、遊んでいた訳ではありませんよ。
色々と情報を集めていたのですから。
まず何より大事なのはサーシャ様の過去です。村の人の話しによると、幼いサーシャ様を父上が連れて来たということ。
つまり、サーシャ様の産まれた村ではなかったということです。
それに母上のことを知っている人もおりませんでした。
サーシャ様は子供の時から、この村で他の子供と同様に育っていたのですね。
サーシャ様に関しては、これ以上の情報は特にありませんでした。
そこで僕は、父上であるディミトリさんにスポットを当てた情報収集に切り替えました。
そうすると、今後の進展に関わりそうな情報を掴みました。
そもそもディミトリさん自体謎が多い方でした。
生い立ちは勿論のこと、どこかの国の兵士でもなかった。
しかし、いつしかレト大陸では知らない者はいない大剣豪として名を馳せていました。それは、まるで突然現れた雷のごとくです。
最後は以前にも申していた通り、現ソルディウス国の黄金の剣士ダマンに敗れて、この世を去りました。
その謎多き剣士ディミトリさんには友人が一人居られたそうです。
その男の名前はパーク。
全く聞いたことの無い名前でした。
パークは現在、フォンダン国に住んでいるそうです。
このフォンダンという国は数年前まではキリエスの一部でした。
しかし、ソルディウス国がキリエスからの独立宣言を出すと同時にフォンダン国も同じくキリエスからの独立を果たしました。
つまり大国であったキリエスが三分割されたのです。
ちなみに、このフォンダンという名前はグラノールさんの弟子であった、天才魔法剣士フォンダンから取られたという話しです。
なぜ、ギアン大陸の魔法剣士であるフォンダンから、このレト大陸の国の名をつけたのかは不明です。
「僕の村人からの調査で得た情報は、こんなところです。」
「私は父のこと覚えているけど、殆んど知らない。そのパークって人に会ってみたいわ。」
これで決まりですね。
僕らが次に向かうのは、フォンダンですね。
そして、そこでパークという男を探しディミトリさんのことを聞く。そのことで、サーシャ様の過去も明らかになるかもしれません。
「えーっ、サーシャたちはフォンダンに行くんだ。」
「うん。シエルはどうするの?」
「そうだね……私も行く。いいよね?」
「大歓迎です!御一緒しましょう、シエルさん。」
僕は興奮冷めやらぬです。一度だけでも、お会いしたかったエルフの美人さんと、一緒に旅できるチャンスなんてこれが最後でしょう。
僕はチャンスを、夢を掴みますよ絶対に。
「目が怖いぞピート。お前はもう、不審者通り越して変質者だ。」
何と言われても構いません。僕の野望――夢が叶うのなら。
「シエルみたいな強い魔法使いが一緒なら助かるわ。」
「本当はね、キリエスに行くつもりだったんだけど、私もディミトリのこと知りたいの。」
「えっ!?シエルも父のこと知っているの?」
「う、うん。ちょっとだけね。」
シエルの反応が何やら怪しかったですね。もしや過去に何かあったのかもしれませんね。
僕は、そういう事には敏感なんですよ。
「そうか、父は知り合いが多いな。ところでシエルはキリエスに何しに行く予定だったの?」
ああ!サーシャ様、そこは深く掘り下げて聞き出さなくてはいけませんよ。父上との関係を。
愛人だったのかもしれませんよ。
「――キリエスにね、穴があるのよ。」
穴?
「も、もしかしてそれって魔法の穴って言われている、あの穴?」
サーシャ様は驚きを隠せません。もちろん僕もです。
グラノールさんが探していたものならば大発見なのではないでしょうか。
「そうそう、その穴だよ。でもね、まだ確実じゃないよ。可能性があるってだけ。」
まあそれはそうでしょう。そんなに簡単なものではないはずです。
「シエル、その魔法の穴ってキリエスの何処にあるのよ?キリエスっていっても滅茶苦茶広いじゃない。」
確かにそうですね。以前の超大国だった頃のキリエスに比べれば相当、狭くなりましたけど、まだまだ大国ですからね。
「フッフッフッ。聞いて驚くのだ諸君。魔界と繋がるといわれている魔法の穴は、キリエスの首都マビン・グラスにあるドレイク三世の居城、グラス城の下だ!」
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