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1話
しおりを挟む驚きの出来事は唐突に降りかかってくるものだ。
「君とはもうやっていけないよ。よって、婚約は破棄する」
「え」
くるくるした赤毛が特徴で周りから『かわいこちゃん』というあだ名で呼ばれている婚約者プトレマオラースが重大な話を切り出してきたのは突然だった。
婚約破棄、それは私たちの関係を根本的なところから崩すようなこと。
しかし彼はそんなにも大きなことを見ていて不思議なくらいさらりと言ってのけたのだ。
彼のくりくりした瞳はこちらを捉えているけれど、そこに私への良き感情はもう少しもなさそうで。
「だって君さ、俺のこと『ご主人さまぁ』って呼んでくれないだろ? 何度も頼んでるのに。そんな女と結婚なんて無理だよ」
さらにはそんなことまで付け加えてくる。
「えええ!? そ、それが理由!?」
思わず出てしまう大声。
「当たり前でしょ。言うこと聞いてくれないやつと一緒にいる意味なんてないから、時間の無駄だから」
「え……そんなこと言う……?」
「言うよ! 意見を言うのは普通のことだし悪いことじゃないよね。けどこれまではちょっとでも傷つけないようにって我慢してきたんだ。君が『ご主人さまぁ』って呼んでくれなくても! 耐えてきたんだよ!」
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