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「幸せになりましょう」
「もちろん。幸せにする、誓うよ」
婚約の交わした日、私たちの心は一つになっていた。
見つめ合う瞳に怪しさの色はなかった。私も、彼も、純粋に幸せを見据えて。共に歩もうと、強く誓った。
◆
誓いなんて、ただの言葉でしかない。
どんな言葉も所詮は偽り。いや、すべての人に当てはまるわけではないのだろうけど。けれども、彼の場合はそうだった。私の婚約者、スカイ・イプロンの場合は。
「研修と言って出掛けて女の人と会っていたって本当なの?」
婚約し、一緒に暮らすようになってから、スカイはやたらと出掛けるようになった。実家の仕事を継ぐにあたっての研修だと聞いていたのだが、それにしては不審な点が少なくない。なぜ下着類を泊数よりも多く持っていくのか、とか、なぜ甘い香りを漂わせつつ帰ってくるのか、とか。
そんなこともあって不審に思っていた最中、私はスカイの知人から情報提供された。
スカイが別の女と仲良くしている、と。
「まっさか。そんなのはただの変な噂だね」
「本当?」
「どうしてそんな風に思うんだい」
「聞いたの、貴方の知人から」
「え」
それまで柔らかかった表情が一瞬だけ引きつった。
が、彼はすぐに表情を柔らかく戻す。
「もちろん。幸せにする、誓うよ」
婚約の交わした日、私たちの心は一つになっていた。
見つめ合う瞳に怪しさの色はなかった。私も、彼も、純粋に幸せを見据えて。共に歩もうと、強く誓った。
◆
誓いなんて、ただの言葉でしかない。
どんな言葉も所詮は偽り。いや、すべての人に当てはまるわけではないのだろうけど。けれども、彼の場合はそうだった。私の婚約者、スカイ・イプロンの場合は。
「研修と言って出掛けて女の人と会っていたって本当なの?」
婚約し、一緒に暮らすようになってから、スカイはやたらと出掛けるようになった。実家の仕事を継ぐにあたっての研修だと聞いていたのだが、それにしては不審な点が少なくない。なぜ下着類を泊数よりも多く持っていくのか、とか、なぜ甘い香りを漂わせつつ帰ってくるのか、とか。
そんなこともあって不審に思っていた最中、私はスカイの知人から情報提供された。
スカイが別の女と仲良くしている、と。
「まっさか。そんなのはただの変な噂だね」
「本当?」
「どうしてそんな風に思うんだい」
「聞いたの、貴方の知人から」
「え」
それまで柔らかかった表情が一瞬だけ引きつった。
が、彼はすぐに表情を柔らかく戻す。
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