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2話「妹を泣かせるなんて」

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 ◆


「ねえさまぁぁぁ……婚約破棄されてしまいましたぁぁぁ……」

 その日、ハニーは泣きながら帰ってきた。

「婚約破棄? 何があったの? 取り敢えず落ち着いて……それから話して」
「はいぃぃ……」

 ハニーの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちている。

 彼女をこんな風にするなんて。
 酷すぎる。
 泣かせるなんて。

「そう。じゃあ、婚約破棄されてしまったのね」
「はいぃぃ……」
「しかも、理由が名前のことだったのね」

 話を聞けば、ハニーが婚約破棄された理由は『名前がかっこわるく親戚になりたくない』というものだったらしい。もしかしたら別の理由もあるのかもしれないが。ただ、アマンが口にした理由は、名前のことだけだったとのことだ。

「ねえさま……ごめんなさいぃぃ……家に傷をつけてしまって……」
「何を言うの! ハニーは悪くないわ」
「でも……婚約破棄された妹が……いる、なんて……」

 ハニーにこんなことを言わせるなんて辛すぎる。

「大丈夫! ハニーは悪くないし、責めたりしないわ!」
「ねえさま……」
「今一番辛いのは貴女よ、そこにさらに攻撃するようなことは絶対にしない。信じて」

 ただ名前が長かっただけ。

 彼女に非はない。

 そもそも、名前なんて彼女が決めたものでもない。
 どこに非があるというのか。

「今はゆっくりして」
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