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前編
しおりを挟む「やーいやーい! お前みたいな真面目との婚約なんか、破棄だー!」
私の婚約者ブブレスは少々幼稚な男性だ。
彼は二十歳を越えている。
しかしいちいち子どもっぽい物言いをする。
わざとか否か。
その辺りは掴めないけれど。
「酷い言い方ですね……相変わらず」
「はぁー? なんてぇー?」
「もう少し普通な感じで言えないものですかね」
日頃ご機嫌な時の彼は見ていて可愛らしくもある。
子どもっぽさが良い方向に出て。
眺めていてほっこりできるような魅力があるのだ。
けれど!
「出たよ真面目! まっじめ! まっじめ! まっじまーじーまーじーめっ。まっじめばーばあっ、まっじめばばあん、まーじーめ過ぎうざいって、はい! あーあーあーウザすぎぃっ」
少しでも思い通りにならなかったらこれだ。
「婚約破棄だからな! いいな!」
「本気で言っているのですか」
「当たりめーだろ! 真面目のくせに疑うなよな!」
「そうですか。……分かりました、では」
こうして婚約は破棄となった。
でも、これで良かったのかもしれないと思う部分もある。
なぜなら、彼と共に生涯を共にするのは難しいだろうと思ってしまうからだ。
彼と生きるということは、子一人を育て見守るようなものだ。
年齢に相応しい交流の仕方はできないだろう。
それはつまり、一生疲れるということ。
そんな人生は正直あまり嬉しいものではない。
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