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1話
しおりを挟むある日の夕暮れ時、私は聞いてしまった。
「うちの姉さぁ、ガチでダサいの! あんなやつにあんないい婚約者がいるなんてあり得ねぇーって感じ! だからさっ、奪ってやることにしたんだよね婚約者」
四つ年下の妹が友人たちにそんなことを話しているのを。
妹は直接的には何も言ってきていなかった。でも家に招いていた同性の友人らにはそんなことを言っていて。恐らくそれこそが真実で本心なのだろう、そう確信するのに時間はそれほどかからなかった。
でも、婚約者を奪うって、一体どういう……。
私には婚約者はいる。
名はエルオットという。
彼は素晴らしい人だ、確かに。
私とではつり合わないのかもしれない。
妹が言っていることもまったくもって分からないわけではない。
でも彼は私を愛してくれている。
エルオットが妹のほうへ行ってしまうとは思えないのだが……。
ま、いずれにせよ、妹はもうじき何かしら仕掛けてくるということだろう。一応備えておいて損はない。どんな危機に見舞われたって、備えているだけで多少は上手くいくというもの。
そこで私はこの件をエルオットにこっそり伝えておいた。
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