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後編
しおりを挟む妹はわがまま過ぎて婚約破棄されそのショックで自らこの世を去り、両親は妹の自死に関する件で大喧嘩になって離婚したそうです。
――つまり、忌まわしいあの家はもうないのです。
また、元婚約者の彼も、私を別れてから何かと不幸に見舞われるようになったそうで。
一夜だけと思って手を出したところ変な女につきまとわれ、ストーカー化した彼女に最終的には襲われて殺められてしまったそう。
……まぁそれもまた彼の人生なのですが。
そんな感じで、皆、幸せにはなれなかったようです。
なんだかんだで結果的には私が一番幸せになれたのかもしれませんね。
「この青いの凄いなぁ。綺麗だなぁ。去年はなかったよね」
「ええ。新種かしら」
「自然な色じゃないって嫌う人もいるみたいだけどさ、嫌いじゃないよこういうの」
「私も好き。綺麗だもの」
穏やかに薔薇園を散策する私たち夫婦を、青空はそっと見守ってくれています。
何を言うでもなく。
指摘するでもなく。
それでもそっと、心に寄り添うように。
……そんな空が私は好きです。
「全部青だったらびっくりするけどさ、ちょっとくらい個性的な色があったっていいと思うな」
「私もそう思うわよ」
「ある意味多様性? 色々あっていいと思うなぁ」
「そうよね、見ていて楽しいし」
「でもやっぱり王道の色も好きだな!」
「それはもちろん!」
あれこれ語り合いながら歩く時、この人の隣にいられて良かったと強く思います。
細やかな日常の中にこそ幸せはあるのだと気づかせてくれたのもまた夫である彼なのです。
◆終わり◆
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