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前編
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私は赤い瞳を持って生まれた。
特に何か異常があったというわけではないのだが、目の色だけが周りと違っていて。
それゆえ、小さい頃から、そのことについて言われることは少なくなかった。
まだ小さい頃には「変な目の色してるね!」などと声をかけられるのは日常茶飯事。でも子どもはまだいい。子どもは直接言ってくれる分まだましだと思えるのだ。むしろ、気を遣っているようなふりをして裏でごちゃごちゃ言っている大人たちの方が質が悪い。
そんな風にして育ってきた私は、婚約でも、またこの目に足を引っ張られることとなる。
「これからよろしくね~」
「よろしくお願いいたします」
婚約者となったエブリは私の目については特には触れなかった。
だが。
「貴女、その目、どうしたの? ふふ。充血でもしているのかしら?」
エブリの母親はこの目の色を流してはくれなかった。
「珍しいわねぇ。確か、親御さんはそんな色の瞳ではなかったわよねぇ」
「そうですね、色が違います」
「生まれつき、なのかしらぁ?」
「はい、そうです」
その日はそこで瞳の色の話は終わった。
しかし、後日知ったのだが、エブリの母親はこの後知人に「あの赤い瞳、伝説の悪女の生まれ変わりよ!」などと言って回っていたらしい。また、赤い瞳の嫁に当たるなんて最悪、というような文句もこぼしていたそうだ。
彼女は私は気に入らなかったようで、それから一ヶ月ほど経って……。
「悪いけど、婚約、破棄させてね~」
エブリからそう言われてしまった。
理由はやはり「目の色を母が嫌がっているから」だった。
特に何か異常があったというわけではないのだが、目の色だけが周りと違っていて。
それゆえ、小さい頃から、そのことについて言われることは少なくなかった。
まだ小さい頃には「変な目の色してるね!」などと声をかけられるのは日常茶飯事。でも子どもはまだいい。子どもは直接言ってくれる分まだましだと思えるのだ。むしろ、気を遣っているようなふりをして裏でごちゃごちゃ言っている大人たちの方が質が悪い。
そんな風にして育ってきた私は、婚約でも、またこの目に足を引っ張られることとなる。
「これからよろしくね~」
「よろしくお願いいたします」
婚約者となったエブリは私の目については特には触れなかった。
だが。
「貴女、その目、どうしたの? ふふ。充血でもしているのかしら?」
エブリの母親はこの目の色を流してはくれなかった。
「珍しいわねぇ。確か、親御さんはそんな色の瞳ではなかったわよねぇ」
「そうですね、色が違います」
「生まれつき、なのかしらぁ?」
「はい、そうです」
その日はそこで瞳の色の話は終わった。
しかし、後日知ったのだが、エブリの母親はこの後知人に「あの赤い瞳、伝説の悪女の生まれ変わりよ!」などと言って回っていたらしい。また、赤い瞳の嫁に当たるなんて最悪、というような文句もこぼしていたそうだ。
彼女は私は気に入らなかったようで、それから一ヶ月ほど経って……。
「悪いけど、婚約、破棄させてね~」
エブリからそう言われてしまった。
理由はやはり「目の色を母が嫌がっているから」だった。
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