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それなりに大きな力を持つ王国に第一王女として生まれた私——リルリナ・グランシェは、目の前で繰り広げられる謎茶番に言葉を失っている。
「あーん、かっこいーい! フランク王子、今日も素敵過ぎますぅー!」
「はは。そうかい。いつもそう言っているね」
フランク王子と呼ばれる彼は、隣国の第一王子だ。
彼の国は私の祖国より小さい国。経済の規模、軍事力など、すべてにおいて彼の国の方がこじんまりとしている。が、私の祖国との関係は悪くない。隣国にしては仲が良い。
そういう事情もあって私は彼と婚約することとなったのだが、婚約してからというもの、一人の女が彼につきまとうようになった。
「本当のことですもの! 本当のことを言ってはいけませんか?」
フランクにつきまとい、常に彼を褒め続ける女。彼女は彼の国の貴族の令嬢らしい。だが貴族の令嬢にしてはかなり知的でない。聡明さが感じられない。
ただ、フランクにとっては、誰よりも都合が良い存在のようだ。
彼は彼女といると情けないくらいヘラヘラしている。
「いや、そんなことを言うつもりはないよ。僕が魅力的であることは事実だしね」
「ですよね、良かったですぅ! うっふふ、とってもかっこいいですぅー!」
「マリネ、君は本当によく分かっているね。女性にしては賢いね」
「えぇー? 女性にしては、って、酷いですぅー」
最初は「以前から親しかったのだろうか」とも考えたが、フランクの身の回りの世話をしている人たちによるとそういうわけではないらしい。貴族の令嬢マリネがフランクに絡むようになったのは最近のことだそうだ。
彼女の企みは何なのだろう。
私と彼の婚約を潰すことなのだろうか。
できればそんなことは考えたくない。他人を悪く捉えたくはない。が、今回に限っては、どうしても悪く受け取らざるを得ないのだ。彼女の言動が明らかに普通でないから。不自然さの塊だから。
「あの、フランク王子」
「あぁ。いたんだ、リルリナ王女」
何だその態度。
呼び出しておいていちゃいちゃを見せつけ、さらに「いたんだ」などと言うとは、無礼にもほどがある。
「あーん、かっこいーい! フランク王子、今日も素敵過ぎますぅー!」
「はは。そうかい。いつもそう言っているね」
フランク王子と呼ばれる彼は、隣国の第一王子だ。
彼の国は私の祖国より小さい国。経済の規模、軍事力など、すべてにおいて彼の国の方がこじんまりとしている。が、私の祖国との関係は悪くない。隣国にしては仲が良い。
そういう事情もあって私は彼と婚約することとなったのだが、婚約してからというもの、一人の女が彼につきまとうようになった。
「本当のことですもの! 本当のことを言ってはいけませんか?」
フランクにつきまとい、常に彼を褒め続ける女。彼女は彼の国の貴族の令嬢らしい。だが貴族の令嬢にしてはかなり知的でない。聡明さが感じられない。
ただ、フランクにとっては、誰よりも都合が良い存在のようだ。
彼は彼女といると情けないくらいヘラヘラしている。
「いや、そんなことを言うつもりはないよ。僕が魅力的であることは事実だしね」
「ですよね、良かったですぅ! うっふふ、とってもかっこいいですぅー!」
「マリネ、君は本当によく分かっているね。女性にしては賢いね」
「えぇー? 女性にしては、って、酷いですぅー」
最初は「以前から親しかったのだろうか」とも考えたが、フランクの身の回りの世話をしている人たちによるとそういうわけではないらしい。貴族の令嬢マリネがフランクに絡むようになったのは最近のことだそうだ。
彼女の企みは何なのだろう。
私と彼の婚約を潰すことなのだろうか。
できればそんなことは考えたくない。他人を悪く捉えたくはない。が、今回に限っては、どうしても悪く受け取らざるを得ないのだ。彼女の言動が明らかに普通でないから。不自然さの塊だから。
「あの、フランク王子」
「あぁ。いたんだ、リルリナ王女」
何だその態度。
呼び出しておいていちゃいちゃを見せつけ、さらに「いたんだ」などと言うとは、無礼にもほどがある。
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