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婚約破棄後、貴方と巡り合った。

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「君との婚約は破棄とする」

 告げられたのは、灰色の厚い雲に覆われた空が不穏さを漂わせる午後だった。

 婚約者である彼に呼び出されて紅茶を貰い二人でティータイムをしていたのだが、彼は、突如そんなことを言い出して。

「え……。どうして……そん、な」
「驚いてくれたかい?」
「なぜ……」
「これは最後のサプライズだよ。僕から君への最後の贈り物さ」

 どうしてそんな意地悪なことを言うの?

 問いたかったけれど、問えなかった。


 ◆


 それから数週間、私は、通っていた茶葉店にて一人の青年と巡り合う。

「いつもいらっしゃっていますよね」
「え……」
「前から少し見ていたのです」
「そう、でしたか……」

 私も彼もこの店の常連客だった。
 でも話したのはこれが初めて。

「よければ、お茶しませんか?」

 闇は徐々に晴れてゆく。

「……はい!」

 蘇る光。


◆終わり◆
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