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婚約者がすり寄ってくる女に乗せられ破滅しました。

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 私には婚約者がいました。
 けれども彼はもう私を愛してはいません。

「俺はフレーナと結ばれることにした。決意した。だから婚約は破棄させてくれ」

 フレーナというのは、最近私たちの前に現れた、地味な容姿ながら彼へのアプローチは凄まじい女の名です。彼女は突然私たちの前に現れ、私の婚約者であるカインにやたらと絡むのです。彼をこっそり呼び出して二人きりでいろんなところに出掛ける、などという、大胆な行動もする嫌な女です。

「そうですか……分かりました。でも、慰謝料は支払っていただきます」
「あぁいいさ。小を切り捨て大を得る」

 こうして私たちは婚約破棄することとなりました。

 慰謝料は支払ってもらいました。

 その後、私は親戚の知り合いの花屋を営む男性と知り合い、花の話をきっかけに親しくなりました。

 そして月日は流れ。
 やがて、彼と結婚することになりました。

 彼は私の前の婚約者であるカインのことを知っていましたが、それでも、私を受け入れてくれました。一度婚約破棄された経験のある私のことも悪く言わず、幸せにすると約束してくれたのです。彼の心の広さには良い意味で溜め息が出ました。

 後に聞いた噂によると、カインはフレーナに騙され大金を奪い取られてしまったそうです。
 高額なものをたくさん買わされたうえ、貸した金も返してもらえず、最後には一文無しとなってしまったそうです。

 悲しいことですね。

 自らの選択によって破滅するなんて。


◆終わり◆
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