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後編

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 ◆


 それから今日で三年になる。

 私は今もエルフィンと共に一つの屋根の下で暮らしている。

 親とはあれから一度も会っていない。
 表向き私は行方不明ということになっているようだ。

「ねえエルフィン、覚えてる?」
「三年前の話?」
「ええ。三年前の今日……貴方と出会ったわよね。傘を差し出してくれて」

 今日も雨が降っている。
 そんな天気の日には、いつも、あの日のことを思い出す。

「ああそうだね」

 ミルクティーを飲んでいたエルフィンはこちらを向いて穏やかに微笑む。

 この笑みが好き。
 それは出会った日から変わらない。

「私、あの時貴方に出会えて本当に良かったと思っているわ」

 たとえ表向きには消えたとなっていたとしても、この幸せがあるなら私はそれで満足だ。

 それ以上なんて望まない。

「……ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「貴方は?」
「もちろん僕も君に出会えて良かったと思っているよ」
「本当?」
「もちろんだよ。嘘なんてつくわけない」
「そう。ありがとう、嬉しいわ」

 ちなみに。

 かつて私を切り捨てたルルゼンは、一年前の今日、自宅の前で倒れて亡くなっていたらしい。

 事件が疑われる状況だったため調査が始まる。が、それらしい情報や証拠はなかなか出ず。急死しそうな要素はなく、医師に診せても死因さえも不明で、どうしようもない状況に陥ったらしい。で、調査開始から半年後、あまりに進展がないために調査は打ち切りとなったそうだ。


◆終わり◆
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