上 下
2 / 2

後編

しおりを挟む
 話し合いの場でもリクエシナはこんなことばかり返してくる。
 だから私は彼女と話し合いをするのは諦めた。

 そして、ハリソンとの婚約を、私は破棄した。


 ◆


 ハリソンがリクエシナと大人な関係にまで発展していたこともあり、慰謝料を請求することができた。そうして私は、ハリソンから、慰謝料をしっかり貰うことができた。

 悲しさや残念さがお金で消えるわけではないけれど。
 それでも、まぁ、何もないよりかはましだ。

 その後もハリソンはリクエシナと親しくしていたらしい。

 少なくとも二、三日に一回は会い、そういう行為に及んでいたそうだ。いかがわしい宿泊所に二人で入っていく姿を目撃した者も少なくなかった。また、時間がある時であれば、毎日のように会ったり夜中まで二人きりでいることを続けることも少なくはなかったとか。

 だが、そんな熱い時間にも終わりが来る。

 ハリソンが両親に怒られたのだ。

 なぜ毎日毎日こんなにずっと彼女といるのか、と。

 怒った両親によってハリソンは自宅に監禁されてしまう。リクエシナには会えない。リクエシナとのいつもの待ち合わせ場所にも行けない。ハリソンは毎日泣いていた。

 数ヶ月が経ち、ハリソンはようやく外へ出ることを許されるようになる。

 だが遅過ぎた。
 リクエシナは既に次の男を見つけていて、しかも、その男と婚約していたのだ。

 それ知った直後ハリソンは崖から飛び降り、翌朝、崖の下で亡骸となった状態で発見されたそうだ。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

失礼な人のことはさすがに許せません

四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」 それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。 ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

幼馴染みのために婚約を破棄したいそうです

四季
恋愛
ある昼下がり、婚約者アルフレッドが見知らぬ女性を連れてきた。 そこからすべてが幕開ける。

魔法を使える私はかつて婚約者に嫌われ婚約破棄されてしまいましたが、このたびめでたく国を護る聖女に認定されました。

四季
恋愛
「穢れた魔女を妻とする気はない! 婚約は破棄だ!!」 今日、私は、婚約者ケインから大きな声でそう宣言されてしまった。

いちゃつきを見せつけて楽しいですか?

四季
恋愛
それなりに大きな力を持つ王国に第一王女として生まれた私ーーリルリナ・グランシェには婚約者がいた。 だが、婚約者に寄ってくる女性がいて……。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

執着はありません。婚約者の座、譲りますよ

四季
恋愛
ニーナには婚約者がいる。 カインという青年である。 彼は周囲の人たちにはとても親切だが、実は裏の顔があって……。

処理中です...