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前編
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婚約者ボルクスに「伝えたいことがある」と言われ彼のところへ行ってみると。
「婚約、破棄するから」
さらりとそんなことを告げられてしまった。
ボルクスは真顔だった。
愛想なんて欠片もないし、遠慮や申し訳なさも欠片ほどもないようだ。
「婚約破棄……なぜですか?」
「理由はひとつ。可愛げがないから、それだけだ」
酷い理由だ。
「泣いて謝るか? まぁ許すかどうかは分からないけどな」
「それは随分勝手なのですね」
「うるさい!! ……とにかくそういうことだから。去ってくれ」
彼は完全に私を拒絶していた。
「二度と俺の前に現れるなよ」
そんな冷ややかな言葉と共に私たち二人の関係は完全に終わってしまった。
その日の空は切なくなるくらい晴れていて。
帰り道、空を見上げて眩しさを感じ、静かに目を細めた。
これからどうなるかは分からないけれど、でも、取り敢えず今は彼のもとから去ろうと思う。
「婚約、破棄するから」
さらりとそんなことを告げられてしまった。
ボルクスは真顔だった。
愛想なんて欠片もないし、遠慮や申し訳なさも欠片ほどもないようだ。
「婚約破棄……なぜですか?」
「理由はひとつ。可愛げがないから、それだけだ」
酷い理由だ。
「泣いて謝るか? まぁ許すかどうかは分からないけどな」
「それは随分勝手なのですね」
「うるさい!! ……とにかくそういうことだから。去ってくれ」
彼は完全に私を拒絶していた。
「二度と俺の前に現れるなよ」
そんな冷ややかな言葉と共に私たち二人の関係は完全に終わってしまった。
その日の空は切なくなるくらい晴れていて。
帰り道、空を見上げて眩しさを感じ、静かに目を細めた。
これからどうなるかは分からないけれど、でも、取り敢えず今は彼のもとから去ろうと思う。
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