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後編
しおりを挟む「母……ええと、何かご用で……?」
「どうしても行かなくてはならない茶会だ!」
「茶会……そ、そうでしたか」
「どうしたマリアンネ? 前もって伝えていただろう」
「……申し訳ありません、少し……実は記憶が」
「何だって!?」
私は、記憶喪失気味な状態になっていることにした。
なんせ私は少し前にマリアンネになったばかり、知らないことも少なくない。彼女の脳があるから多少情報はあるけれど。でもそれでもすべての情報を網羅できているわけではない。だから、欠けているところは忘れてしまったことにしようと思っているのだ。
「なんてことだ! マリアンネに記憶障害が!? い、医者のところへ行こう。そうすれば、もしかしたら、何か分かるかもしれない……!」
◆
あれから三年半が経った。
私――否、今の我が身であるマリアンネは、ブルーシオには捨てられたけれど通っていた病院で知り合った医者の男性と結ばれた。
彼は父親とも親しかった人で、若くして出世している青年だった。
そんな彼と、私は結婚した。
けれども彼は誠実な人。
医者という人気職に就いているにもかかわらず妻を傷つけるようなことはしない人だ。
だから安定した生活を送ることができている。
一方ブルーシオはというと、あの後酒場で出会った派手な美女に惚れ込んだそうだが散々贈り物をさせられた挙句消えられてしまい、贈り損で終わったそう。で、そのことに怒りを募らせた彼は、包丁を手に女性を探し回るようになったそう。だがある時包丁を持っていることを地域の警備隊員から注意されてしまったらしく、また、その時に包丁で脅すような言動をとったらしくて。それによって拘束され、汚い牢屋に送られてしまったそうだ。
そして彼は今もそこに入ったままだそう。
牢屋に入っている間にも何度か問題を起こしたそうで、当分そこから出られないこととなっているらしい。
◆終わり◆
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