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後編

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 婚約破棄の書類には『自身の意思で婚約を破棄することにしました。慰謝料は支払います』というような意味のことが書かれていた。

 けれどもフルベンガインはそれに気づかなかったようだ。

 でもそんなことは関係ない。

 彼はこの紙にサインした。
 それはここに書かれていることに納得したということである。

 その後私はフルベンガインに慰謝料の支払いを求める。彼は意味が分からないと喚いていたようだが、そんなことをしても義務は義務。支払うよう言われれば支払うしかないのである。

 最初は支払い拒否していたフルベンガインだったが、やがて心が折れ、慰謝料の支払いを仕方なく受け入れた。

 その後私は実家のパン屋を継ぎ、さらに大きな店へと進化させていく。
 仕事に追われる日々でも幸せに満ちていた。

 後に聞いた噂によれば、フルベンガインはあの後親から勘当を告げられたそうだ。
 喧嘩になり言い合いの最中に母を殴ってしまったから、らしい。
 親に追い払われたことで住む場所を失ってしまった彼は、長時間労働低賃金で働き貧しい暮らしをする外ないという状況になってしまっているそうだ。


◆終わり◆
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