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15話「通用するか試してみたい」

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 覚悟を決めた日からある程度日が過ぎたある日の午後、城に近い地域へ魔物の群れが迫ってきた。

 私が相手します――そう希望を出し、敵前へと向かう。

 ディアは大層心配してくれていた。
 いきなり実戦は危険ではないかと。

 だが私はどうしても戦いたかった。

 自分の魔法が実戦でも通用するのかどうか知りたかったのだ。すべての始まりはそこだと思うから。私はこれまで実際に戦いのために魔法を使ったことはない、ゆえに、最も基本的なところを確認してみたかったのである。

 前線へ出て、敵を待ち構えていると、周囲の見張りをしている兵士たちが「あんなお嬢さまで本当に大丈夫なのかぁ?」「不安しかねぇ」「やばくなったら俺らが護らないとな」などと言っているのが聞こえてきた。

 皆に、それもあまり知り合いではない人にまで、私の勝手で不安を抱かせてしまっていることは申し訳ないことだと思う。

「エリサさん、間もなく魔物が本地点へ到達しそうです」
「あ、はい。分かりました。ありがとうございます」

 ――いよいよだ。

 改めて、心を強く持つよう心がける。

 きっと怖い思いをすることになるだろう。
 でも負けはしない。
 どんな敵であろうと蹴散らしてやればいいだけだ。

 ディアのためにも、この国のためにも、私は私にできる最大限をことをしなくては。

 やがて「来ました!」と見張りが叫んだ。即座に「……はい!」と返事をする。こういう時は気の利いた長い返事をしている暇はない。必要最小限の言葉だけでも返事にしておく、それで構わないはずだ。なんせこういう時だから。

「コングラシャヘリモヘリトラフトラクトフコングラシャトラヘリハモトリハラトラフムトラフシャラハトラハコングラシャヘリモトストカコングラシャヘリモトリストフコングラシャヘリモ!」

 迫る魔物、十体ほど。

 光の魔法を放つ。
 それをもろに受けた魔物らは身体を削り取られるように消滅していく。

 ……取り敢えず予定通り!

 だが魔物はこれで終わりではない。

 どすぐろいもやをまとった魔物はさらに出現する。

 禍々しさが凄まじい。

 だが動揺はしない。
 その程度で怯んでいては戦えない。

「コングラシャヘリモヘリトラフトラクトフコングラシャトラヘリハモトリハラトラフムトラフシャラハトラハコングラシャヘリモトストカコングラシャヘリモトリストフコングラシャヘリモ!」

 先ほどと同じ魔法で、次なる敵も撃破。

 想像していたより順調だ。
 この調子なら何とかなりそう。

 ただし、油断しては駄目だ。

 良い流れの時こそ物事に対して慎重に向き合わなくてはならない。

「コングラシャヘリモヘリトラフトラクトフコングラシャトラヘリハモトリハラトラフムトラフシャラハトラハコングラシャヘリモトストカコングラシャヘリモトリストフコングラシャヘリモ!」

 敵はまだ増える。
 着実に仕留めてゆこう。

「すっげー!」
「良い調子だなっ」
「やるっすね」
「こりゃバンバン倒せそうな気がするなぁ」
「強すぎんだろぉーい」
「神レベルだすな」

 背後からは兵士の歓喜の声が聞こえてくる。

「コングラシャヘリモヘリトラフトラクトフコングラシャトラヘリハモトリハラトラフムトラフシャラハトラハコングラシャヘリモトストカコングラシャヘリモトリストフコングラシャヘリモ!!」
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