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2話
しおりを挟む「分かったか? ネネ」
「……はい」
「はっ、そうか、ならさっさと消えろよな」
こうしてネネは婚約破棄されてしまった。
ただ、辛うじて救いもあって。
「何あれ~可哀想~」
「気の毒よね」
「人前で婚約破棄を宣言するとか酷すぎ」
それは、周囲にいた人たちがネネの味方をしてくれていたという点。
ネネは悪者にはされていなかった。馬鹿にされてもいなかったし、見下されてもいなかったし、侮辱されてもいなかった。
それだけは救いであったと言えるだろう。
「ネネ、大丈夫? 帰りましょう?」
「姉さま……」
「体調が悪い?」
「いいえ……ただちょっとショックで……」
「そうね、あんな風になったんだもの、ショックが大きいわよね」
取り敢えずネネを休ませたい。
その日のパーティーは最後まで残らず早退した。
◆
「酷かったわね、あの男」
取り敢えず会場近くのホテルに泊まることにした。
人の多いところから離れるだけでも少しは気が楽になるだろう。
そう思ってここを選んだ。
「大丈夫、大丈夫よ姉さま」
「本当に?」
「ええ……大丈夫……」
「そう、ならいいけれど……あ! そうだ! ハーブティー淹れるわね!」
このホテル、なかなか良質なティーバッグなどを自由に使うことができるようになっている。
これはとてもありがたい! それに、凄く便利!
「……ありがとう」
「任せて!」
温かいものを飲めば少しは気が楽になるのではないだろうか。
そう思って手を動かす。
可愛い妹のためなら何だってできる。
「姉さま……ごめんなさい、ホテルまで取ってもらって……」
「気にすることはないわ! それに、事情を話せば父さんが後から出してくれるはず」
「ふふ、それはそうね」
その後私たちは美味しいハーブティーを飲んで色々語らった。
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