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前編

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 私には三つ年下の妹がいる。

 彼女はまるでお人形さんのよう。整っていて華やかな面を生まれ持ち、まとう空気も花園のようであり、可愛らしいフリルがたくさんついたドレスもよく似合う。

 一方私は平均的な容姿で若干鋭めの目つき。選んで着る服も可愛らしいものというよりかは中性的なものを好んでいた。

 そのため周囲はいつも私より妹を愛した。

 そもそも両親がそうだった。二人はいつも妹のことばかりを愛し、私には最低限の手しか加えず。放置されるよりかは良い、とはいえ、姉妹なのに待遇が違い過ぎた。

 で、わがままに育った妹は、いつしか私を虐めることを娯楽とするようになっていった。

 いろんな嫌がらせをされた。

 事実でない恥ずかしい話を広められたり、お茶に下剤を混入させられたり、気持ち悪い姿の虫を大量に渡されたり……。

 だが先日そんな妹の婚約が決まった。

 彼女は見たことがないくらい浮かれていた。
 よほど婚約が嬉しかったのだろう。
 今にも天に昇ってしまいそうなほど喜び、歌い踊っていた。

 親から聞いた話によれば、婚約の相手は妹がずっと好きだった男性らしい。

 それは嬉しいだろう。

 理解できないことはない。

 ずっと想っていた人と結ばれる。
 そんな嬉しいことはない。
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