上 下
2 / 2

後編

しおりを挟む

 するとリボンは急に頬を膨らませて「おかしいんだ! ママがそう言ってたもん!」と子どものように言い返してきた。

 これはもう無理なやつ――そう思い、私は彼の前から去ることにした。

 彼は私に目を向ける気はないのだろう。
 ならば私は流す。
 彼とはもう付き合っていかない。

 ここまでにしよう。


 ◆


 その後私は実家へ戻って花を育て始めた。
 親は許可してくれ、庭やら何やらを自由に使わせてくれた。
 おかげでのびのびと花の世話ができた。


 ◆


 あれから五年。
 私は今、この国で初となる高級路線の花屋を開き、花のお世話と商売に打ち込んでいる。
 もちろん苦労もあることはあるけれど――それでも、この道は私が選んだ道、だからどんなことがあっても受け入れようと思っている。

 商売はそこそこ波に乗ってきていて、徐々に楽しくなってきているところだ。

 これが私の人生。
 今はそう強く思えている。

 私は私の道を行く。

 そうそう、そういえば。
 先日親から聞いたのだけれど。

 リボンにはあの後恋人ができたそうなのだが、その恋人を振った次の日に、元恋人となったその女性から『お別れの品』として貰ったクッキーを食べて即死したそうだ。

 何でも、そのクッキーには、ある植物の毒が入っていたらしい。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...