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後編
しおりを挟むぶつかった日の帰りしな、カオロスが声をかけてきて「少しお茶でもどうですか?」と誘ってくれた。そして私はそれに乗った。で、二人でお茶をした。ほぼ初対面なのに。けれども、いざ話をしてみると意外と楽しくて、それこそ時を忘れてしまいそうなほどであった。
そしていつの間にか、私は、身勝手に婚約破棄されもやもやしていた、というような少々踏み込んだ話までこぼしてしまっていて。
けれども、そういう話が距離を縮めてくれたともいえよう。
「また会いませんか?」
「そうですね、ぜひ」
「連絡しますよ、手紙とかで」
「こちらからも手紙出します」
この時から手紙を交換する仲となった私とカオロスは、数年の時を経て、やがて結婚するに至った。
――そして今、夫婦となっている。
「カオロス、ポストもう見た?」
「まだだよ」
「オッケ、じゃあ私が見てくる」
「気をつけてね、寒いから」
「カオロスは朝食の用意しててね!」
「もちろーん」
ちなみに、かつて私を一方的に切り捨てた彼は、あの後山を歩いていた時に元々嫌いだった蛇に襲われて怪我し後に状態が悪化したことで不運にも死亡してしまったとのことだ。
また、その亡骸は蛇の毒におかされていて、それに短時間ながら触れた親族数名もまた体調不良に悩まされることとなってしまったそうだ。
◆終わり◆
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