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前編
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ロボット人間やロボットなど様々な種の者たちが暮らす国、オヴァヴァ鋼国。そこにはかつて、ルー王家というものが存在した。それは歴史ある家系であり、長きにわたりオヴァヴァ鋼国を治めていた家系である。しかしながら、世が安定しないことを理由にルー王家は統治者の地位から降ろされた。
そんなルー王家の血を引く数少ない女性が、魔善ティーナと御蘭ディーヌという姉妹だ。
齢三十を迎えた姉妹の姉、魔善ティーナには、最近悩みがあった。それも、これまでの人生で抱いたことのなかったような悩みである。
「どうも好かれてるみたいなのよね……」
ある昼下がり、濃いめのピンクのドレスとヴェールに身を包んだ魔善ティーナが漏らす。
「へっ!? 姉様が恋してるんですの!?」
情けないくらい甲高い声を発したのは、オレンジのドレスとヴェールをまとっている御蘭ディーヌ。魔善ティーナの、二つ年下の妹である。
「違うわ。恋されてるのよ」
「ええ!? あばばあばぶばッ!? こっ、恋されてるっ!?」
土を固めたような色みの顔面を真っ赤に染め上げて、御蘭ディーヌは狼狽える。
過剰なほどに乙女な反応である。
「姉様が! 誰かにッ!? 恋!? されてるゥッ!?」
「落ち着いて、御蘭ディーヌ。奇声は発さなくて良いから」
「で、でもでもでもっも!」
御蘭ディーヌは、両足を小刻みに震わせ、一種のステップを踏んでいるかのような動きをする。それによる揺れは意外と大きく、室内にある食器棚からは器がぶつかり合う高い音が響いてきていた。
「取り敢えず、両足を全力で震わせるのを止めるというのはどうかしら」
魔善ティーナは呆れ顔で述べる。というのも、御蘭ディーヌがこんな風に慌てて騒ぐのはよくあることなのである。こういう展開は、最近になって始まったわけではない。まだ二人が幼かった頃から、こういうことにはよくなっていた。御蘭ディーヌは元々慌てやすい質だったのだ。
「そ……そうですわね……はぁ、はぁー、すぅーはぁー」
「落ち着いた?」
「落ち着きましたわ……はぁ、はぁー、すぅー、はっはるはるはぁー。……で、姉様に恋してる人というのは……どなたなんですの?」
御蘭ディーヌの慌てる発作は、今になってようやく落ち着いてきた。
そんなルー王家の血を引く数少ない女性が、魔善ティーナと御蘭ディーヌという姉妹だ。
齢三十を迎えた姉妹の姉、魔善ティーナには、最近悩みがあった。それも、これまでの人生で抱いたことのなかったような悩みである。
「どうも好かれてるみたいなのよね……」
ある昼下がり、濃いめのピンクのドレスとヴェールに身を包んだ魔善ティーナが漏らす。
「へっ!? 姉様が恋してるんですの!?」
情けないくらい甲高い声を発したのは、オレンジのドレスとヴェールをまとっている御蘭ディーヌ。魔善ティーナの、二つ年下の妹である。
「違うわ。恋されてるのよ」
「ええ!? あばばあばぶばッ!? こっ、恋されてるっ!?」
土を固めたような色みの顔面を真っ赤に染め上げて、御蘭ディーヌは狼狽える。
過剰なほどに乙女な反応である。
「姉様が! 誰かにッ!? 恋!? されてるゥッ!?」
「落ち着いて、御蘭ディーヌ。奇声は発さなくて良いから」
「で、でもでもでもっも!」
御蘭ディーヌは、両足を小刻みに震わせ、一種のステップを踏んでいるかのような動きをする。それによる揺れは意外と大きく、室内にある食器棚からは器がぶつかり合う高い音が響いてきていた。
「取り敢えず、両足を全力で震わせるのを止めるというのはどうかしら」
魔善ティーナは呆れ顔で述べる。というのも、御蘭ディーヌがこんな風に慌てて騒ぐのはよくあることなのである。こういう展開は、最近になって始まったわけではない。まだ二人が幼かった頃から、こういうことにはよくなっていた。御蘭ディーヌは元々慌てやすい質だったのだ。
「そ……そうですわね……はぁ、はぁー、すぅーはぁー」
「落ち着いた?」
「落ち着きましたわ……はぁ、はぁー、すぅー、はっはるはるはぁー。……で、姉様に恋してる人というのは……どなたなんですの?」
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