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2話
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私の周囲に異変が起こり始めたのは、三歳になった頃。
その頃の私は、近所にいた短髪の男の子にやたらと絡まれていた。特に何をしたわけではないのに、向こうが積極的に寄ってくる。そして、ことあるごとに嫌がらせをしてくる。
その男の子が、突然死。
思えばそれが初めての経験だった気がする。
会うたびに嫌がらせをしてくる彼のことは好きでなかった。でも、私が何かしたわけではない。憎しみを向けたわけでもない。ただ、彼は命を落としてしまったことは事実。
そうなった時、私に疑いがかけられた。
男の子の母親が「ノノンさんがうちの子を呪ったのでは?」と言い出したのだ。
呪った、なんて、とても現実的とは言えない表現だ。だから、誰も、そんな話を信じたりはしなかった。子を失った衝撃が大きかったのだろう、というくらいにしか考えていなかった。
けれど、数日後、母親が亡くなって。
これによって、私は少し怪しまれるようになってしまう。
「不気味よね、あそこのお嬢さん」
「あの子とは関わっちゃ駄目よ!」
私と同じ年頃の子を持つ母親たちは、裏でそんなことばかり言うようになっていった。
でも私はそれほど気にしていなかった。
なぜなら、絶対寄り添っていてくれると信じられる人がいたから。
そう、母親である。
私を最初に抱き上げた母親、彼女だけは、いつまでも私に寄り添っていてくれる——迷いなく、そう信じていた。
◆
だが、十五の時、状況が一変する。
母親が殺されてしまったのだ。
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