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2話
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「アルベニア。せっかくだ、一度二人で話でもしてみればいい」
現皇帝でもある父親に言われたアルベニアは一瞬何か考えるかのように目を細めたが、すぐに元通りの顔つきになり、独り言のように「そうね」と口を動かした。
「庭はどうかしら」
アルベニアはほんの僅かに笑みを浮かべ、エブロバに提案する。
意外な積極性に驚いてかエブロバは戸惑ったように顔をした。
「えっ……」
「嫌なら他のところでもいいわ」
「あ、いや、嫌とかそんなことは……」
「ならそうしましょ。庭には面白いものがあるの、見せてあげる」
◆
たどり着いた庭には、数多の緑と共にハートの形のものが色々存在していた。植物を使って作ったアーチのようなもの、カラフルな置物、仕切りのような柵——その多くにハートモチーフが使われている。
「ここが庭ですか?」
辺りを見回しながら感心したように述べるエブロバ。
アルベニアの表情は若干自慢げだ。
「そうよ。別名ハート庭園とも言われてるわね」
「ハート庭園……」
「ま、アタシが勝手に名付けたんだけどね」
緑がほとんどの庭の中、二人は向かい合って立ち、視線を重ねる。
「それで、狙いは何?」
アルベニアの目つきが直前までより鋭くなる。
相手の企みを見透かそうとするような目つき。
現皇帝でもある父親に言われたアルベニアは一瞬何か考えるかのように目を細めたが、すぐに元通りの顔つきになり、独り言のように「そうね」と口を動かした。
「庭はどうかしら」
アルベニアはほんの僅かに笑みを浮かべ、エブロバに提案する。
意外な積極性に驚いてかエブロバは戸惑ったように顔をした。
「えっ……」
「嫌なら他のところでもいいわ」
「あ、いや、嫌とかそんなことは……」
「ならそうしましょ。庭には面白いものがあるの、見せてあげる」
◆
たどり着いた庭には、数多の緑と共にハートの形のものが色々存在していた。植物を使って作ったアーチのようなもの、カラフルな置物、仕切りのような柵——その多くにハートモチーフが使われている。
「ここが庭ですか?」
辺りを見回しながら感心したように述べるエブロバ。
アルベニアの表情は若干自慢げだ。
「そうよ。別名ハート庭園とも言われてるわね」
「ハート庭園……」
「ま、アタシが勝手に名付けたんだけどね」
緑がほとんどの庭の中、二人は向かい合って立ち、視線を重ねる。
「それで、狙いは何?」
アルベニアの目つきが直前までより鋭くなる。
相手の企みを見透かそうとするような目つき。
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