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「彼が婚約者になる予定のエブロバ・オーディエンソンくんだ」
ソプラティエ帝国の第一皇女アルベニアが一人の青年を紹介されたのは、十七の誕生日を迎える頃であった。
やや暗めのミルクティーのような色をした髪を両側頭部で束ねたツインテールで有名なアルベニアには男性の親しい者はいない。人と関わることの多い身分ゆえ知人は少なくないが。
「婚約者? 予定? ちょっとお父様、どういうことよ」
「聞け娘よ。お前は第一皇女、結婚相手の選び方は絶対に失敗してはならない」
紹介されている青年エブロバは、餅を連想させるような肌の持ち主で、ふっくらした人物であった。極度に肥えているわけではなく、しかしながら、平均よりかはふくよか。
髪色は橙色系統の色みで二色になっている。
シャツにネクタイ、ベルト、ストライプ風なラインの走っている膝丈のズボン。上を折った靴下に、ローファー。そのすべてはグリーン系統でまとめられている。
「初めまして皇女様。エブロバといいます」
青年エブロバが丸みを帯びた片手を差し出す。
アルベニアはそれを握り返した。
「よろしく」
一応そう返すアルベニアだが、その紅い瞳には警戒心が映し出されている。
ソプラティエ帝国の第一皇女アルベニアが一人の青年を紹介されたのは、十七の誕生日を迎える頃であった。
やや暗めのミルクティーのような色をした髪を両側頭部で束ねたツインテールで有名なアルベニアには男性の親しい者はいない。人と関わることの多い身分ゆえ知人は少なくないが。
「婚約者? 予定? ちょっとお父様、どういうことよ」
「聞け娘よ。お前は第一皇女、結婚相手の選び方は絶対に失敗してはならない」
紹介されている青年エブロバは、餅を連想させるような肌の持ち主で、ふっくらした人物であった。極度に肥えているわけではなく、しかしながら、平均よりかはふくよか。
髪色は橙色系統の色みで二色になっている。
シャツにネクタイ、ベルト、ストライプ風なラインの走っている膝丈のズボン。上を折った靴下に、ローファー。そのすべてはグリーン系統でまとめられている。
「初めまして皇女様。エブロバといいます」
青年エブロバが丸みを帯びた片手を差し出す。
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