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1話
しおりを挟む素晴らしい女、って何だろう。
理想的な女、って何だろう。
それは彼らにとって都合の良い存在なのだろうか。
それこそ、彼らが言ったことすべてに従うような。
「君との婚約は破棄とする!!」
婚約者ドルレイン、翡翠のような瞳と美しい金髪が幻想的な雰囲気を漂わせ女性からの人気も高い男性だ。
「君よりも素晴らしい女性に出会ったんだ。理想的な女性さ。彼女は君みたいに潔癖じゃないし、お願いすればほとんど何でも応じてくれる。奉仕の精神も素晴らしい。彼女は、顔は良くても意思と主張が強い君みたいな外れ女とはまったくもって異なる存在なんだ」
外れ女、か。
まぁ確かにそうなのかもしれない。
私は妙に積極的なお誘いに乗れないし、一晩を彼と二人きりで過ごすことなどできないから。
彼からすればそうなのだろう。
それは彼の考え。
彼の感性から出た評価。
他者が書き換えられるようなものではない。
ただ、はっきり直接言われるのも複雑だな……、とは思うが。
「そういうことだ、君とはもうおしまいにする」
「そうですか分かりました」
「今日に限って気味悪いくらい素直だな」
ドルレインは少し驚いたような目をした。
しかしすぐに真顔に戻って。
「ま、いい。これで話は終わりだ。婚約は破棄となったので、今日から君とは他人に戻る。さよなら」
彼はひといきでそこまで言いきった。
秋の終わり、葉が朽ちてゆくように。
私たちの関係も終わりを迎え。
これまで築いてきたはずのものは灰となり消えた。
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