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後編
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「ち、ちちち、違う! 違うんだよ! これは!」
「……そちらの女性は?」
「か、かか、彼女は! が、がくっ、ががが、学生時代の後輩でっ……!」
そんな女性の存在は聞いたことがないけれど。
それに、たとえ学生時代の先輩後輩だとしても、ここまで密着するのは不自然だろう。
「後輩?」
「あぁそうなんだ! ただの後輩! ただの!」
私は一度静かに頷く。
「慌てなくていいのよ、実は前から知っていたから。それじゃあ婚約は破棄とさせてもらうわね」
「そ、そんな! 待ってよ。酷いよ。こ、これは、彼女に無理矢理誘われて……!」
今さら焦っても時既に遅し。
「そんな嘘はつかなくていいわ。毎日彼女を自室に呼び寄せていることとか、夜な夜な二人揃って変な声を出していることとか、色々知っているから。それにね、証拠もあるの。だから言い逃れするのは無理よ」
にっこり微笑んで。
「さようなら、ガイガーさん」
こうして私たちの婚約は破棄となった。
その後手続きをしてガイガーに慰謝料支払いの命令が出された。
密かに集めていた証拠が活躍してくれた。
彼の貯金だけでは足りず、親にも助けを求めることとなったそうだ。そうして慰謝料は何とか無事払われた。
しかし、ガイガーは、情けない行為に激怒した両親から勘当を言い渡されてしまったらしい。
その後ガイガーは親しくしていた彼女に刺され死亡した。
焦ってとはいえ「ただの後輩」やら「無理矢理誘われて」やら言ってしまったことによって彼女を怒らせてしまったようだ。
一方、私はというと、ある晩餐会で出会った男性と結ばれた。
今では子どもも生まれ、互いの親も含めた家族で、幸せに暮らしている。
◆終わり◆
「……そちらの女性は?」
「か、かか、彼女は! が、がくっ、ががが、学生時代の後輩でっ……!」
そんな女性の存在は聞いたことがないけれど。
それに、たとえ学生時代の先輩後輩だとしても、ここまで密着するのは不自然だろう。
「後輩?」
「あぁそうなんだ! ただの後輩! ただの!」
私は一度静かに頷く。
「慌てなくていいのよ、実は前から知っていたから。それじゃあ婚約は破棄とさせてもらうわね」
「そ、そんな! 待ってよ。酷いよ。こ、これは、彼女に無理矢理誘われて……!」
今さら焦っても時既に遅し。
「そんな嘘はつかなくていいわ。毎日彼女を自室に呼び寄せていることとか、夜な夜な二人揃って変な声を出していることとか、色々知っているから。それにね、証拠もあるの。だから言い逃れするのは無理よ」
にっこり微笑んで。
「さようなら、ガイガーさん」
こうして私たちの婚約は破棄となった。
その後手続きをしてガイガーに慰謝料支払いの命令が出された。
密かに集めていた証拠が活躍してくれた。
彼の貯金だけでは足りず、親にも助けを求めることとなったそうだ。そうして慰謝料は何とか無事払われた。
しかし、ガイガーは、情けない行為に激怒した両親から勘当を言い渡されてしまったらしい。
その後ガイガーは親しくしていた彼女に刺され死亡した。
焦ってとはいえ「ただの後輩」やら「無理矢理誘われて」やら言ってしまったことによって彼女を怒らせてしまったようだ。
一方、私はというと、ある晩餐会で出会った男性と結ばれた。
今では子どもも生まれ、互いの親も含めた家族で、幸せに暮らしている。
◆終わり◆
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