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後編
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「ふぃえっ!? は、ハインズ……どうして……」
「隠れて見ていたんだ」
「どうして……ここに……」
「イムさんのこと、本当に虐めていたんだね」
「ち、ちちちち違う! 違う! 違うの! これは、これは、そ、そう! 練習! 今度の宴会でやる演技の練習なのよ!」
息子に本性を知られた母親は狼狽えている。
「イムさんの言葉が本当だったと分かった。だから……皆に僕から話すよ、明かすよ。それがイムさんの名誉のためだから」
真実を知ったハインズによって母親の悪い行いが世に出され、彼女に対する世間からの評判は一気に下落することとなった。
そして、それとは対照的に、落ちていたイムの評判は戻り始めた。
発していた言葉。
明かした話。
それらは嘘ではなかった、そう判明したからだ。
ハインズの母親は多くのものを失った。良い評判も友好関係も失われ、さらには、その件を理由に夫からも離婚を切り出され。彼女はあっという間にひとりぼっちになってしまった。そして、一人になるのみならず、無関係の人たちからも過激なやり方で批判されるようになってゆき。そのこともあって心を病み、やがて死を選んだ。
一方、イムはというと。
あのままハインズと結婚し幸せに暮らしている。
「イム! 里帰りするって本当かい?」
「ええ、明後日から」
「僕も行きたいなぁ」
「一緒に行ってみます?」
「え、いいの!?」
彼女は望みを叶えることができた。
「人間だけど……いいのかな、それでも」
「もちろんよ。種族なんて関係ない、私たちは共に生きてゆくパートナーよ」
「ありがとう、イムさん」
ラ・イムとハインズは種族の壁を越えて幸せに生きてゆく。
この先もずっと。
◆終わり◆
「隠れて見ていたんだ」
「どうして……ここに……」
「イムさんのこと、本当に虐めていたんだね」
「ち、ちちちち違う! 違う! 違うの! これは、これは、そ、そう! 練習! 今度の宴会でやる演技の練習なのよ!」
息子に本性を知られた母親は狼狽えている。
「イムさんの言葉が本当だったと分かった。だから……皆に僕から話すよ、明かすよ。それがイムさんの名誉のためだから」
真実を知ったハインズによって母親の悪い行いが世に出され、彼女に対する世間からの評判は一気に下落することとなった。
そして、それとは対照的に、落ちていたイムの評判は戻り始めた。
発していた言葉。
明かした話。
それらは嘘ではなかった、そう判明したからだ。
ハインズの母親は多くのものを失った。良い評判も友好関係も失われ、さらには、その件を理由に夫からも離婚を切り出され。彼女はあっという間にひとりぼっちになってしまった。そして、一人になるのみならず、無関係の人たちからも過激なやり方で批判されるようになってゆき。そのこともあって心を病み、やがて死を選んだ。
一方、イムはというと。
あのままハインズと結婚し幸せに暮らしている。
「イム! 里帰りするって本当かい?」
「ええ、明後日から」
「僕も行きたいなぁ」
「一緒に行ってみます?」
「え、いいの!?」
彼女は望みを叶えることができた。
「人間だけど……いいのかな、それでも」
「もちろんよ。種族なんて関係ない、私たちは共に生きてゆくパートナーよ」
「ありがとう、イムさん」
ラ・イムとハインズは種族の壁を越えて幸せに生きてゆく。
この先もずっと。
◆終わり◆
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