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前編
しおりを挟む「お前みたいな平凡な女と一生を終えるなんて俺は絶対に嫌だ! よって、婚約は破棄する!」
婚約破棄。
それを告げられる日はいきなり訪れた。
婚約者リリカエイは急に私を自宅の庭へ呼び出しそう宣言してきたのだ。
色々聞きたいことがあったので質問しようと思ったのだが、リリカエイはそれを許さず、強制的に私を追い出した。
婚約は破棄でもいい。
ただ、気になることに関してだけ、少しでも良いから教えてほしい。
そんな小さな望みすら叶わずじまいだ。
――だが、その日の晩、私の前に女神だという女性が現れて。
「貴女は国のために生きるのです。リリカエイ、彼と生きていて良いほど一般的な女性ではありません。貴女は特別な存在です。迎えが来たなら城へ行きなさい、そして、国のために生きると誓うのです」
その時は意味が分からなかったのだが。驚いたことに、翌朝、城から遣いがやって来て。それによってあれが幻ではなかったのだと理解した。おかしな夢でもみていたのだろう、と思っていたけれど、あれはどうやら現実だったらしい。
その後、私は国からも聖女と認定され、正式に聖女として働くこととなった。
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