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後編
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それからしばらく証拠を出しながら問い詰めると、アダンはついに認めた。
だが反省はしていないようだ。
「ごめん。でも、一番大事なのは君だよ。リリンはあくまで欲を満たす仲でしかなくて、妻にしようなんて思ってはいないよ。中の上のリリンより君の顔の子どもが欲しいし」
そんなことを堂々と言ってのけられる神経が凄いと思う。
「ま、いいわ。婚約は破棄、いいわね」
「え!? どうして!?」
「リリンさんと楽しくね」
「待って待って待って、それは困る、親に怒られる」
今さら慌ててももう遅い。
「大丈夫よ、親御さんには私から伝えておくわ。貴方が何をしたのか、じっくりと、ね。じゃ」
こうして私は彼の前から去った。
私は取れるものは取るつもりだ。あんなことをした人に情けをかける気はない。アダンも、アダンにちょっかいを出したリリンも、精々罪を償えと思う。だから私は躊躇しない。償いの一つとしてお金だってしっかり貰う、可能な範囲で。
その後、手続きを開始した。
◆
半年後、私は、二人から支払ってもらったお金で裕福になっていた。
心の底から愛している人に捨てられた、というわけではないから、このくらいで許してやってもいいかなとは思う。
今後はもうあまり関わらないようにしたい。
それが本心だ。
私は過去に囚われず新しい人生を歩んでいきたいのだ。
ちなみに、リリンの家は、慰謝料の支払いによって持っていた財産の半分以上を失うこととなったそうだ。というのも、彼女はほとんどお金を持っておらず、親のお金まで慰謝料の支払いに使うこととなったのだそうで。それによって、もとよりあまり裕福でなかったところがさらに厳しい状況になったらしい。また、家にお金がなくなったことで、リリンの父親が不倫相手を妊娠させたがお金で口封じしていたことも明らかになってしまい。リリンの両親も揉めることとなり、家庭はめちゃくちゃになってしまったとのことである。
一方アダンはというと、昔の恋人が雇った殺し屋にある日突然殺されたらしい。
◆
あれから五年、私は、国防軍兵士の男性と結婚した。そして、今は待望の第一子を腹に宿している。向こうの親もこちらも親も孫の誕生を楽しみにしていて、もうじき出産するであろう私はとても大切に扱われている。
◆終わり◆
だが反省はしていないようだ。
「ごめん。でも、一番大事なのは君だよ。リリンはあくまで欲を満たす仲でしかなくて、妻にしようなんて思ってはいないよ。中の上のリリンより君の顔の子どもが欲しいし」
そんなことを堂々と言ってのけられる神経が凄いと思う。
「ま、いいわ。婚約は破棄、いいわね」
「え!? どうして!?」
「リリンさんと楽しくね」
「待って待って待って、それは困る、親に怒られる」
今さら慌ててももう遅い。
「大丈夫よ、親御さんには私から伝えておくわ。貴方が何をしたのか、じっくりと、ね。じゃ」
こうして私は彼の前から去った。
私は取れるものは取るつもりだ。あんなことをした人に情けをかける気はない。アダンも、アダンにちょっかいを出したリリンも、精々罪を償えと思う。だから私は躊躇しない。償いの一つとしてお金だってしっかり貰う、可能な範囲で。
その後、手続きを開始した。
◆
半年後、私は、二人から支払ってもらったお金で裕福になっていた。
心の底から愛している人に捨てられた、というわけではないから、このくらいで許してやってもいいかなとは思う。
今後はもうあまり関わらないようにしたい。
それが本心だ。
私は過去に囚われず新しい人生を歩んでいきたいのだ。
ちなみに、リリンの家は、慰謝料の支払いによって持っていた財産の半分以上を失うこととなったそうだ。というのも、彼女はほとんどお金を持っておらず、親のお金まで慰謝料の支払いに使うこととなったのだそうで。それによって、もとよりあまり裕福でなかったところがさらに厳しい状況になったらしい。また、家にお金がなくなったことで、リリンの父親が不倫相手を妊娠させたがお金で口封じしていたことも明らかになってしまい。リリンの両親も揉めることとなり、家庭はめちゃくちゃになってしまったとのことである。
一方アダンはというと、昔の恋人が雇った殺し屋にある日突然殺されたらしい。
◆
あれから五年、私は、国防軍兵士の男性と結婚した。そして、今は待望の第一子を腹に宿している。向こうの親もこちらも親も孫の誕生を楽しみにしていて、もうじき出産するであろう私はとても大切に扱われている。
◆終わり◆
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