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朝日が昇って間もない時間、ウィクトルたちは押し付けられた山の整備の仕事のため、慣れない山に来ていた。
既に空は明るくなり始めているが、人の気配はほとんどない。だがそれも当然のこと。山賊が出るという噂のため、明るい時間帯であってもこの山に踏み込む人は少ないのだ。その結果、山は荒れ放題に。そこでウィクトルたちが派遣された。
今日は珍しくウタも同行している。
「無理言ってついてきてしまってごめんなさい」
「いや、いいんだ。手伝ってくれるのだろう? ありがたい。だが、無理はしないことだ」
ウィクトルの仕事が忙しく、ウタは、ここのところしばらく彼に会えていなかった。そこで、山の整備に同行することにしたのだ。手伝うだ何だと言っているが、本当の理由は『一緒にいられる時間を作りたかったから』なのである。
「私は草をむしれば良いのよね?」
ウタは既に軍手をはめてやる気に満ちている。
「あぁ。ウタくんには危険なことはさせられないからな。草むしりがまだ安全だろう」
「虫に噛まれないよう頑張るわ!」
「そこか。……まぁいい、私も一応近くにいよう」
仲睦まじいウィクトルとウタを引き離すのは気が引けると考えたリベルテは、特に何も言わず、さりげなくその場から離れていった。
既に空は明るくなり始めているが、人の気配はほとんどない。だがそれも当然のこと。山賊が出るという噂のため、明るい時間帯であってもこの山に踏み込む人は少ないのだ。その結果、山は荒れ放題に。そこでウィクトルたちが派遣された。
今日は珍しくウタも同行している。
「無理言ってついてきてしまってごめんなさい」
「いや、いいんだ。手伝ってくれるのだろう? ありがたい。だが、無理はしないことだ」
ウィクトルの仕事が忙しく、ウタは、ここのところしばらく彼に会えていなかった。そこで、山の整備に同行することにしたのだ。手伝うだ何だと言っているが、本当の理由は『一緒にいられる時間を作りたかったから』なのである。
「私は草をむしれば良いのよね?」
ウタは既に軍手をはめてやる気に満ちている。
「あぁ。ウタくんには危険なことはさせられないからな。草むしりがまだ安全だろう」
「虫に噛まれないよう頑張るわ!」
「そこか。……まぁいい、私も一応近くにいよう」
仲睦まじいウィクトルとウタを引き離すのは気が引けると考えたリベルテは、特に何も言わず、さりげなくその場から離れていった。
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