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1話「奪われたもの」
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父親が再婚したことで義理の妹となった五つ年下のリリアンネに婚約者を奪われた。
彼女は私が知らない間に私の婚約者アオスに近づいていて。年の割に肉感的な身体を使って誘惑し、私には秘密で深い関係になり、アオスの子を宿したことを機に完全に奪い取ったのだ。
「あのね、お姉さま、わたし……アオス様の子を宿しましたのよ!」
最初そう言われた時は意味が分からなくて言葉を失ってしまった。
「これって、アオス様の妻となるにはわたしの方が相応しいってことですわよね。きっと神様がそう言ってくださっているのです。ということで! お姉さまは身を引いてちょうだいね」
そこまで言われた。
で、その後アオスに話を聞いたことで、彼とリリアンネの間に肉体関係があったことが発覚したのだ。
まったく気づかなかった私も馬鹿だったとは思う。もう少し警戒しておくべきだった。そういう反省はあるけれど。でも、アオスも悪いと思ってしまう部分はあって。彼は彼で不審な近寄り方をしてくる者には気をつけるべきだったと思うのだが。
ただ、アオスはあまり反省していないようだった。
もしかしたら、実は私のことをあまり良く思っていなかったのかもしれない。
「アオス、残念だけれど、この関係を続けるのは無理そうね」
「……そうだな」
「この婚約は破棄とするわ。いいわね」
「分かった」
結局彼は「ごめん」の一言さえ発してくれなかった。
「ああっ……お姉さま……罪深い魅力的なわたしでごめんなさいっ……」
リリアンネは最後までそんな調子。
一人、演技がかった発言を続けていた。
彼女は私が知らない間に私の婚約者アオスに近づいていて。年の割に肉感的な身体を使って誘惑し、私には秘密で深い関係になり、アオスの子を宿したことを機に完全に奪い取ったのだ。
「あのね、お姉さま、わたし……アオス様の子を宿しましたのよ!」
最初そう言われた時は意味が分からなくて言葉を失ってしまった。
「これって、アオス様の妻となるにはわたしの方が相応しいってことですわよね。きっと神様がそう言ってくださっているのです。ということで! お姉さまは身を引いてちょうだいね」
そこまで言われた。
で、その後アオスに話を聞いたことで、彼とリリアンネの間に肉体関係があったことが発覚したのだ。
まったく気づかなかった私も馬鹿だったとは思う。もう少し警戒しておくべきだった。そういう反省はあるけれど。でも、アオスも悪いと思ってしまう部分はあって。彼は彼で不審な近寄り方をしてくる者には気をつけるべきだったと思うのだが。
ただ、アオスはあまり反省していないようだった。
もしかしたら、実は私のことをあまり良く思っていなかったのかもしれない。
「アオス、残念だけれど、この関係を続けるのは無理そうね」
「……そうだな」
「この婚約は破棄とするわ。いいわね」
「分かった」
結局彼は「ごめん」の一言さえ発してくれなかった。
「ああっ……お姉さま……罪深い魅力的なわたしでごめんなさいっ……」
リリアンネは最後までそんな調子。
一人、演技がかった発言を続けていた。
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