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前編

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「貴方との婚約は破棄します!」

 そう叫んでいるのは――私。

 婚約者ウィンデルはまたしても裏切った。
 これで三度目。
 また他の女にこっそり手を出していた。

「証拠も集めています、親にも話はいっています、ですから貴方とはもうおしまい。後は手続きをして償いのお金の支払いをしていただくのみです」

 これで三度目、もうさすがに許せない。

 これまでは許してきたけれど。
 こちらにも我慢できる範囲というものがある。
 何もかも耐えられるわけではないのだ。

「待ってよぉ~、あれは本気なんかじゃないんだぁ~」

 彼はそう言って泣いてみせる。

 でも無駄だ。
 もう騙されない。

 彼はこうやっていかにも反省しているかのように謝るけれど、それはいつものことで、しかもその謝罪は行動にはまったくもって反映されないのだ。

「何を言っても無駄ですよ、婚約破棄は既に決定したことですから」
「嫌だよぉ、離れたくないよぉ~」

 これまで謝罪を受けて許してきた私にも非はあった。
 もっと厳しくするべきだったのだ。

「さようなら、ウィンデル」
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