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後編

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 ◆


 あれから数年、私とアインツは真逆のような人生を歩むこととなった。

 婚約破棄された直後に秘められた力があると判明した私は、王城へ連れていかれ、そこで改めて聖者に力について調べてもらうこととなった。で、その結果は良いものであり、私は正式にこの国の『聖女』であると認められることとなった。

 それからはとても良かった。

 衣食住に困ることはない。
 すべて国が面倒を見てくれるから。

 そして私がするのは国の平穏を祈ることだけ。

 一方アインツはというと、超絶ギャンブル好きな伯父の借金をアインツの父親が被って返済しなくてはならないこととなったそうで、その結果家は急激に貧しくなったそうだ。

 で、アインツ自身も、それまでのように優雅には暮らせず。

 長時間労働低賃金でも働き続けるしかないということになってしまったようだ。

 彼にはもう自由な時間はほとんどない。優雅に穏やかにお茶を飲むことすらできず。彼は一つの駒として消費されるだけ。

 道具としてこき使われ、使い潰される――それだけの人生だ。


◆終わり◆
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