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婚約破棄はお好きにどうぞ! ~貴方がしたいようにすればそれで構いませんよ~
しおりを挟む「マリー・フルレン、君との婚約は本日をもって破棄とする!」
婚約者であるヴィーヴァーがそう告げてきたのは、ある春の日だった。
「そうですか、分かりました」
私は微笑みを崩さない。
いつもと変わらない柔らかな表情を保つ。
「では、私はこれで失礼します」
「なっ……」
「さようなら、ヴィーヴァーさん」
「ま、待っ……」
私は彼の言葉を聞かずその場から去った。
もう彼の言葉を聞く必要もないだろう。
私たちは他人に戻るのだから。
◆
あれから数年、私は領地持ちの家の息子であるもっちりした青年と結婚して穏やかな家庭を築き、今もほのぼのと暮らせている。
暮らしはゆったりとしている。
いつまでもこんな風にいられたらいいな――そう願わずにはいられない。
ちなみにヴィーヴァーはというと、あの後馬車の事故によって前歯が飛び出してしまい、それを良く思わないあまり他人と接することが怖くなってしまったらしい。
私が聞いた話によれば、彼はもう数年一歩も家の外に出ていないそうだ。
少し気の毒なような気もするが……。
◆終わり◆
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