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前編

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 イルカ令嬢と呼ばれる私は、父親がイルカ族なの。
 けれども外見は人間にそっくりよ。
 髪の色が青い銀色であることを除けば、周囲と何一つとして変わらないわ。

 婚約だってしたのよ。

 でも……。

「君と生きてゆくなど無理だ! よって、婚約は破棄とする!」

 婚約者ビュルからそんなことを言われてしまったわ。

「そんな……なぜ……?」
「人間でないやつとは生きていけん。生理的に無理なんだ。こうして婚約破棄してやるだけまだ優しいだろ」

 こうして私は切り捨てられてしまったの。
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