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中編
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そして、それからというもの、アレイナは毎日のようにフルベルンに電話をかけてきた。
いきなり「会いたい」と言うことも少なくはなかった。もちろん時間も御構い無し。朝だろうが昼だろうが夜だろうが、彼女は気が向けばすぐにフルベルンを呼び出すのだ。また、フルベルンが「今はどうしても無理で……」と伝えると、甲高い悲鳴のような声を発し始める。来てくれないなら死ぬ、とか、後から知り合った婚約者を優先するの、とか、喚き散らす。
アレイナは、一度来てほしいと思うと、ひたすら騒ぐ。望み通りにならないことを決して許さない。無理矢理でも望み通りにしようとする。彼女はそういう人なのだ。
「悪く言うつもりはありません。けれど、毎日仕事帰りにアレイナさんの家へ行って夜中まで帰ってこないというのは、さすがにおかしいのではないかと思うのです」
最近のフルベルンはアレイナの相手をすることに力を尽くし過ぎだ。
私のことなんて、ほとんど放置。
「向こうが会いたいと言うんだ、仕方ないだろう」
「毎日は多過ぎです」
「仕方ないだろう! アレイナが会いたがるんだ! フルベルンに会えないなら自殺する、と言う。だから断ることなんてできない。アレイナを死なせるわけにはいかないんだ!」
アレイナは死なないと思う。彼女はそんな弱い人間ではない。初対面の人に嫌みを言えるくらいだ、心は弱くないはずだ。恐らく、気を引くためにそう言っているのだろう。フルベルンはまんまと策にはまってしまっているのだ。
「でも、私が酷い風邪で困っていた時は、水を取ってほしいというお願いすら無視しましたよね」
「それとこれとは話が別だ!」
「そうですか?」
「アレイナは君とは違う。アレイナは昔から繊細な心の持ち主なんだよ、君とは違って。アレイナには僕が要る。彼女は僕がいないと生きていけないんだ」
生きていけない? ならどうして私と婚約したのか。アレイナと婚約すれば良かったではないか。彼女と一生寄り添って生きていけば、それで良かったではないか。選択権はあったはずなのに、なぜ間違った選択をした? なぜ、アレイナを大事にしているにもかかわらず、婚約者は私にしたのか。
「勘違いしないでくれ。僕はそもそも君のことを好きだったわけじゃない」
フルベルンは苛立ったような顔で口を動かす。
「僕が君と婚約したのは家のためだ」
「私の実家が金持ちだったからですか?」
「あぁ、そういうことだよ。僕は家のために犠牲となった。おかげで、君のような心ない人と生きていかなくてはならないことになってしまった」
それを聞いた時、私の中の何かが切れた気がした。
いきなり「会いたい」と言うことも少なくはなかった。もちろん時間も御構い無し。朝だろうが昼だろうが夜だろうが、彼女は気が向けばすぐにフルベルンを呼び出すのだ。また、フルベルンが「今はどうしても無理で……」と伝えると、甲高い悲鳴のような声を発し始める。来てくれないなら死ぬ、とか、後から知り合った婚約者を優先するの、とか、喚き散らす。
アレイナは、一度来てほしいと思うと、ひたすら騒ぐ。望み通りにならないことを決して許さない。無理矢理でも望み通りにしようとする。彼女はそういう人なのだ。
「悪く言うつもりはありません。けれど、毎日仕事帰りにアレイナさんの家へ行って夜中まで帰ってこないというのは、さすがにおかしいのではないかと思うのです」
最近のフルベルンはアレイナの相手をすることに力を尽くし過ぎだ。
私のことなんて、ほとんど放置。
「向こうが会いたいと言うんだ、仕方ないだろう」
「毎日は多過ぎです」
「仕方ないだろう! アレイナが会いたがるんだ! フルベルンに会えないなら自殺する、と言う。だから断ることなんてできない。アレイナを死なせるわけにはいかないんだ!」
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「でも、私が酷い風邪で困っていた時は、水を取ってほしいというお願いすら無視しましたよね」
「それとこれとは話が別だ!」
「そうですか?」
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生きていけない? ならどうして私と婚約したのか。アレイナと婚約すれば良かったではないか。彼女と一生寄り添って生きていけば、それで良かったではないか。選択権はあったはずなのに、なぜ間違った選択をした? なぜ、アレイナを大事にしているにもかかわらず、婚約者は私にしたのか。
「勘違いしないでくれ。僕はそもそも君のことを好きだったわけじゃない」
フルベルンは苛立ったような顔で口を動かす。
「僕が君と婚約したのは家のためだ」
「私の実家が金持ちだったからですか?」
「あぁ、そういうことだよ。僕は家のために犠牲となった。おかげで、君のような心ない人と生きていかなくてはならないことになってしまった」
それを聞いた時、私の中の何かが切れた気がした。
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