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後編

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 そこからヴィオラは変わり始めた――と言っても、彼女とて馬鹿ではないので本性を露わにして好き放題し始めたというわけではない。

 正式に女王となるまでは、一応、それなりに大人しくしていた。

 体調こそ少々不安定になっていはいたものの、公務はそれなりにこなしていたし、婚約破棄より前と大きな変化はないような振る舞いであった。

 だが女王になった途端彼女の中にある怨みの念は爆発。

 彼女は一部の模範的な者たちを除いて男性を奴隷階級に堕としこき使う政策を行った。それにより男性の人権は消失。人権を持つ男性、普通に生きることを許されている男性、は、ほんの一部だけに限られることとなったのだ。

 ただ、女性たちにとっては、ヴィオラが築く国はとても良い国であった。

 奴隷たちの働きのもとで国は繁栄。
 その上に立って女性たちはやりたいことをやっていくことができたのだ。

 女王ヴィオラの統治には負の側面もあった。が、それとは対照的に良い評価もあった。彼女を悪女と呼ぶ者も多くいたが、一部の者たちからは猛烈に愛されていた。凄まじいファンは多かったのである。特に、これまで虐げられる立場にあった女性たちからは、強い敬愛の念を抱かれていた。

 ちなみにオルクスはというと、王子ゆえ短い従軍期間中に不幸にも暗殺された。

 護衛が一瞬目を離した隙のできごとだったという。

 また、オルクスの妻となっていた女性は、それによって心身の調子を悪くし寝込みがちになってしまって――第二子出産の直前に突然気を失い、そのまま腹中の子と共に亡くなってしまった。


◆終わり◆
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