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ちょこっとひとやすみ? 詩のコーナー

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『いつだったか』

いつだったか
手を繋いで歩いたあの道
共に生きることとなったあなたと
確かにある未来を信じていた

たくさんの祝福と
たくさんの希望に
繰り返し唱えた期待は
不確かな明日などありはしないと
そう語るようで
どんな困難も乗り越えられると
ただ信じていた
純粋に
愚かに
信じていたあの夏の日

わたしたちはきっと
この世界のすべてを知ることなどできず
けれどもだからこそ
多くのものを期待しながら生きてゆくのでしょう
あまりにも不確かなもの
あまりにも曖昧なもの
それを頼りに生きてゆくには
きっと
ある種の愚かさが必要で
何もかもすべてを見通す知性など
幸せに生きるには
邪魔なものでしかない

いつだったか
手を繋いで歩いたあの道
共に生きることとなったあなたと
確かにある未来を信じていた

今でも思う
あのまま信じていられたなら
きっと今でもわたし
幸せでいられたのかなって……

いつだったか
手を繋いで歩いたあの道
共に生きることとなったあなたと
確かにある未来を信じていた



『寝ても起きても』

寝ても起きても
あなたのことでいっぱい
寝ても起きても
この頭はあなたで満たされてる

馬鹿みたいだと
笑う人もいるでしょう
けれども仕方ないの
それが女心というものだから

淡い恋心だけで
女は幸せの香りに包まれる
より美しくなる
魅惑の香水をまとう
束の間の幸せが積み重なるような
まるでミルフィーユ
甘くとろける
いつか腐って溶けてしまうと知っていても

寝ても起きても
あなたのことでいっぱい
寝ても起きても
脳内にはあなたばかり

愚か者と
笑う人もいるでしょう
だけどね仕方ないの
それが乙女という生き物だから

ほんの少しの好きだけで
女は幸福感に浸れる
より幸せへと向かうための
魅惑の香水をまとって
一時だけのものであっても
舌で触れたい恋のミルフィーユ
幸せへと続く甘い匂いは
いつもすぐ傍に佇んでいる
終わりはすぐそこにあると知っていても

諦めの悪さもまた
乙女の証明なの
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