上 下
20 / 71

「お前みたいな野蛮な女、俺には必要ない」そんなことを言われたうえ、婚約破棄を告げられまして!?

しおりを挟む
「お前みたいな野蛮な女、俺には必要ない」

 私ミッシェリアは幼い頃から運動神経が良く、ゆえに、かなりやんちゃだった。

 やんちゃと言っても、悪いことをしていたわけではない。
 ただ動くことが好きだっただけだ。
 なので剣術に打ち込んだり街の実力者から戦闘技術を習ったりしていたのである。

 そんな私のことを婚約者リオンデールはよく思っていなかったようで。

「よって、婚約は破棄とする!」

 まさかの関係解消を告げられてしまった。

「本気で仰っているのですか?」
「当たり前だろう」
「冗談などではなく?」
「ああ、そうだ。そんなくだらない冗談なぞ発するわけがない。すべて本当の言葉だ」

 想定していなかっただけにかなり驚いた。
 確かにショックもある。
 けれどもだからといって心折れたり泣いたりするほど私は弱くない。

「そう、ですか……分かりました」

 それが彼の願いなら、私はそれに応えよう。

「受け入れます」
「そうか!」
「今までありがとうございました」

 そう言うと、リオンデールはにっこりしていた。

 そんなに私と離れたかったの……? なんて、複雑な気持ちになりつつも、私は彼の前から去る道を選んだ。

 だって、きっと、このまま一緒にいても良いことなんてないだろうから。

 私は戦いが好き。
 彼はそんな私が嫌い。

 ……ならば終わりにするしかないだろう?

 どう足掻いても理解し合うことはできないのだから。


 ◆


 婚約破棄後、私は、国家防衛組織に戦闘員として加入した。

 そこでは戦いが好きな私のことも誰も悪く言わない。
 だから気が楽だった。

 私はただ自由でいたい。

 縛られてはいたくない。
 否定されるばかりではいたくない。

 ゆえに、この環境が合っていた。

 ――そして最高位にまで上り詰めることとなる。

 全力で戦えた。
 そして出世できた。

 それは私にとってとてもとても嬉しいことだった。

 頑張れば頑張るほどに評価される――努力が見える形になるのは大変喜ばしいことだ。

 ちなみにリオンデールはというと、あの後、親の紹介で知り合った美女と結婚するも結婚後豹変したその女性に虐げられることとなってしまったそう。それで、今は、実の親と会うことすら許されていないそうだ。彼は妻以外の人と接することを一切許されていないらしく。もはや彼には自由も人権もない。

 きっと、少しくらい不満があっても、私と結婚しておいた方が彼は幸せだったと思う。だってそうしていれば少なくとも親には会えたはずだから。

 だが、可哀想と思うかと問われれば、頷きはしない。

 なぜなら私にとって彼は大切な人ではないからだ。
 他人を平然と野蛮と言っていたような男に誰が同情するというのか。


◆終わり◆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

一度は婚約してくれと頼んできておいて、それなのに、そんなことをするのですね

四季
恋愛
ボツニドに頼まれ婚約したアルカだったのだが……。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

想い合っている? そうですか、ではお幸せに

四季
恋愛
コルネリア・フレンツェはある日突然訪問者の女性から告げられた。 「実は、私のお腹には彼との子がいるんです」 婚約者の相応しくない振る舞いが判明し、嵐が訪れる。

処理中です...